私の好きな写真家 アンリ・カルティエ=ブレッソン
世界を旅しながらスナップを撮り歩き、数多くの"決定的瞬間"を美しい構図でとらえた、20世紀を代表する写真家がいた。フランス生まれのアンリ・カルティエ=ブレッソン(1908-2004)だ。写真家集団「マグナム・フォト」創始者の一人でもあり、1952年の写真集「決定的瞬間」は、当時の写真表現に大きな影響を与えた。
もし名前も聞いたことがないという人がいたら、ぜひ一度、彼の世界を覗いてみてほしい。
心奪われるフレーミングとストーリー
ブレッソンの写真といえば何と言っても、
計算し尽くされた構図の素晴らしさである。
スナップショットで切り取ったとは思えない、
その一瞬の完璧なフレーミング。
彼が若き頃に画家を目指し
学んでいたというから、納得である。
ブレッソンの作品には、
それぞれの街並みや風景を背景に
生活を営む人々の様子がとらえられている。
しかしその構図の美しさゆえ、
写真から生活感のようなものは
ほとんど感じられない。
しかし、写真におさめられた
一瞬をつなぐストーリーは、
確かにそこにある。
“写真は何物でもない。
私が興味を持っているのは、人生そのものだ”
このブレッソンの言葉からも、
彼の被写体へのまなざしは
常に温かかったことが伺える。
だからこそ、ただ美しいで終わることなく、
見る人の心を奪うのだろう。