オンラインイベントから熱狂的なコミュニティをつくり出す「ダブルホイールモデル」
こんにちは、酒居です。
今回はぼくたちが実施しているオンラインイベントの取り組みから誕生した、熱狂的なオンラインコミュニティ「SPEEDA New Business Way」と、その過程で生まれたオンラインイベントとコミュニティにおける熱量の相互作用をつくり出す「ダブルホイールモデル」についてご紹介します。
オンラインイベント「H2Hセミナー」について
現在ぼくたちユーザベースのB2B SaaS事業のマーケティング部門では、SPEEDA・FORCAS・INITIAL・MIMIR(SPEEDA EXPERT RESEARCH)という4つの事業のマーケティングとブランドコミュニケーションを担当しています。
中でも力を入れているのが、オンラインイベントを中心としたイベントマーケティングです。「Users Driven Marketing」を合言葉に、コンテンツに対して徹底的にこだわり、企画から運営まで全て内製化しています。
今年2020年2月にオフラインの取組みをすべてオンラインへシフトをした後、4月から「H2H(Home to Home)セミナー」と名付けたオンラインイベントを月に10本以上開催しています。
特にSPEEDAが主催するH2Hセミナーでは、平均1,200名程度の方々にご参加いただいており、嬉しいことに参加者の満足度は9割以上をキープしています。
オンラインイベント中、突然「コミュニティ」が誕生
ぼくたちのコミュニティは、4月23日に開催したSPEEDAのH2Hセミナー中で突然生まれました。
その回はキリンホールディングスのイントレプレナーとして活躍されているリープスイン代表の日置さんと、JR東日本にて新規事業プログラム「ON1000」を立ち上げ運営されている菊池さんのお二人にご出演いただきました。
1,000名を超える方々に視聴いただき、Zoomのチャット欄ではたくさんのご質問やご意見が次々に投稿されました。(結果として1,000件を超えるコメント投稿をいただきました)
その中で、チャット欄において、出演者への質問や感想だけでは留まらず、「Aさん(視聴者の方)のご意見に賛成です。私もこうだと思います」のように、視聴者の方同士がお互いに見解を伝え合う流れが始まりました。それは本編を阻害するものではなく、ゲストのお話を聴いて、熱量高く意見交換をし合ってくださり、イベントは普段以上の盛り上がりとなりました。
モデレートをしながら、「せっかく生まれたこのすごい熱量をそのまま消してしまうのはもったいない。ここで生まれたつながりを次につなげていくことはできないか」。終了がせまる中で、そう思いました。
そこで、終了前に「せっかくなので参加者の皆さんでコミュニティをつくりませんか?つくったら皆さん入ってくれます?」と視聴者の方々に投げかけてみました。すると、たくさんの賛同の声をいただき、その場でFacebookグループを立ち上げました。そのコミュニティにはセミナー終了直後早速500名を超える方が参加いただくという驚きの展開へと発展していきました。
そして、イベント当日の夜にはすでに参加者の方々が主導で、振り返りの勉強会やMeetup企画が次々に開催されました。コミュニティ参加者はその日のうちに1,000名を超え、すごい熱量が醸成されていきました。
オンラインコミュニティ「SPEEDA New Business Way」
イベント中に急遽つくったFacebookグループでしたが、その後コミュニティを『SPEEDA New Business Way』と名付け、「新規事業開発」に携わる方々を対象としたコミュニティとしてスタートしました。
現在SPEEDAのオンラインコミュニティの参加人数は2,612人(9/5時点)。ありがたいことにイベントを経るごとに参加者は増えています。
このオンラインコミュニティでは、主に下記のような活動を行っています。
・イベントに参加いただいた後、参加者主導でMeetUpや勉強会を開催
・イベントに関連するテーマについてのオンライン上でのディスカッション
・参加者が他の参加者へヒアリング・相談したいことを投稿し、仲間や相談者を募る
・コミュニティから生まれたプロジェクトの進捗共有とミートアップ開催 ※後述
このコミュニティの特長は、「オンラインイベントとの互換性がある」ことです。各所から自然に集まっているのではなく、ほとんどのメンバーがSPEEDAのH2Hセミナーを通じてコミュニティに参加してくださっています。
そのため、H2Hセミナーとコミュニティは連動性が高く、コミュニティではイベントに関連するテーマで議論を深めていただいたり、イベント出演者とイベント後も交流を深める場として活用いただいています。
(↑イベントでもコミュニティでも大変お世話になっているリープスイン日置さんのコミュニティでの投稿。本スレッドだけで500件以上のコメントのやり取りが行われています)
イベントとコミュニティを両輪で回す「ダブルホイールモデル」
今回新たに生まれたコミュニティは、参加者の方々が主導となり、高い熱量をつくり出すことができています。SPEEDAはこれまでコミュニティ運営をしてきた経験はありませんでしたが、このコミュニティでは参加者の方々とともに高い熱量をつくり出すことができています。
その最も大きな理由は、「イベントとコミュニティを両輪で回す」ことです。イベントとコミュニティを両輪で回すカタチ、これを「ダブルホイールモデル(Double Wheels Model)」と名付けました。
「ダブルホイールモデル」が生み出す熱量の相互作用
オンラインイベントの熱量をコミュニティの熱量へ転換し、逆にコミュニティで新たに生まれた熱量を再びイベントの熱量として転換していく。
その結果、両活動による相互作用をつくり出し、参加者の熱量を継続的に高めていきながら、つながりを強化することが可能となります。
ダブルホイールの効果1:イベント⇒コミュニティ
まずは、イベントからコミュニティへの具体的な波及効果について書いていきます。
① 共通のイベント後により心理的安全性が最初から生まれる
ダブルホイールモデルのメリットの1つ目として、「メンバーの心理的安全性を構築しやすい」ということがあります。
いかに仲間を増やしていくか、また参加いただいた後にいかに関係性を深めていくか、これは多くのコミュニティでよくある課題だと思います。自分の興味があるテーマであったとしても、知らない人がたくさんいるグループに所属しようとするのはハードルが高いです。たとえジョインしたとしても、なかなか積極的にアクションを起こしていくことは勇気がいります。
これは、その方にとってコミュニティ内における心理的安全性がつくられていないことが大きな要因だと思います。
ダブルホイールモデルでは、最初にオンラインイベントの参加を経て、コミュニティに参加いただきます。そのため、コミュニティにはすでに空間を共有した「共通項」のあるメンバーがいる状態をつくることができています。その結果、コミュニティへの参加ハードルを下げ、参加後も他メンバーとのコミュニケーションについて安心感を与えてくれます。
② 話題(トピック)の継続的な提供ができる
コミュニティの継続的な熱量をつくるには、参加者がコミュニティ内で行動してくれることが大切です。そのためには、運営サイドで行動しやすい環境をつくり続けることが重要だと感じています。イベントの熱量をコミュニティの熱量へ転換するメリットはここでも有効です。
SPEEDAでは新規事業開発に関するテーマで、新たなオンラインイベントを毎週開催しています。そのため、イベントにおいて高い頻度で新たなテーマや議題をお伝えすることができます。
その結果、イベントに参加いただいた後、コミュニティでも継続的にその話題について語り合っていただけます。継続的な話題づくりが、参加者の行動を促進する重要なエッセンスになっています。
③ イベント出演者と参加者の交流の場にもなる
SPEEDAではイベントに出演いただいた多くの方が、イベント終了後にコミュニティへ参加してくださいます。
SPEEDAのオンラインイベントでは本番の1時間の中で、毎回数百を超えるご質問やコメントを視聴者の方々からいただきます。それは大変嬉しいことではあるのですが、イベント内で頂いた質問全てに回答しきれません。また、オンラインイベントではオフラインのイベントと違って、講演後に直接登壇者へ話しかける機会もありません。
イベントに出演いただいた方がコミュニティへ参加いただけることで、視聴者の方々が出演者と直接コミュニケーションをとれる機会が生まれ、イベント後の交流が生まれます。それはイベントだけでは解決できない参加者の悩みや課題を解決する術にもなります。
これはイベントに出演いただいた方々のあたたかいご協力で成り立っており、皆さんに本当に感謝しています。出演者の方々にとっても、コミュニティが良い場となるよう努めています。
④ イベント出演者との長期的な関係構築ができる
これは上記③と関連しますが、イベント出演者がコミュニティへ参加してくださることで、長期的に良好なつながりを築いていくことができています。
現在、コミュニティの活動を介して、プロジェクトの相談からオンライン飲みまで、さまざまなシーンでイベント後もお付き合いいただいてます。これはとても嬉しいことです。
ダブルホイールの効果2:コミュニティ⇒イベント
つづいては、コミュニティからイベントへの波及効果についてご紹介します。
① コミュニティから新たなイベント出演者を発掘
コミュニティがオンラインイベントの新たな出演者を生み出す場となっています。実際「SPEEDA New Business Way」を通じて出会い、出演していただく流れが生まれたケースが複数あります。
この流れは最初から狙ったわけではありませんが、コミュニティマネージャーである弊社の斎藤が、コミュニティ内のミートアップや勉強会に参加して、参加者の方々と親交を深めてくれる中で生まれました。
コミュニティメンバーがイベント出演者となってくださることで、イベントとコミュニティの相互関係はさらに深まっています。
② オンラインイベントへの集客チャネルの一つとしても機能
コミュニティはイベント集客にも有効です。メールや広告は見ない方でも、コミュニティでのアナウンスは見てくださったり、その案内を知り合いに伝えてくださることもあります。
コミュニティというすでにつながりがある場でのシェアだからこそ、他のチャネルではつながることができない方にも、イベントに参加いただけるきっかけになっています。
③ コミュニティのつながりでイベントのチャット欄への投稿を促進
オンラインイベントでは視聴者の方との「インタラクティブ性(双方向性)」をとても重視しています。そのためイベント本番中には、インタラクティブに視聴者とのコミュニテケーションをつくる仕掛けを複数盛り込んでいます。
しかし、どれだけコミュニケーションしやすい環境をつくったとしても、知らない方々が数百名、千名以上いる中で、チャットで質問や感想を投稿することは勇気がいることです。1人で参加していると、コメントをする壁に悩まれる方も多いでしょう。
そこでコミュニティでのつながりが活きてきます。コミュニティで一度会話したことがある、ミートアップで一緒になったことがある方が参加していれば、たとえ一人で参加していたとしても、オンライン上では一人ではありません。気心の知れたコミュニティの仲間と一緒に参加することができ、心理的に安心感を持って投稿することができます。チャット欄にコミュニティで知り合った方の名前を見つけて、積極的にコメントを返信してくださる方も人も増えています。
コミュニティでのつながりが、オンラインイベント視聴時の参加モチベーションにも活きてきます。
④ コミュニティで独自のデータを集め、イベントコンテンツに活かす
イベントとコミュニティの相互作用をさらに高めていくために、コミュニティを活用した独自の統計データを収集する取り組みも行っています。
現在コミュニティの活動は、Facebookグループでのオンラインコミュニケーションがメインです。その中で、イベントと関連するトピックでのアンケートやヒアリングを実施しています。
コミュニティメンバーに協力いただくことで、新規事業開発に携わる実務者や管理者の生の声を集めることができます。そして、集めた声を統計データとしてまとめ、イベントで紹介することも行っています。
この取り組みはどんどん進めていきたいと考えています。
施策の「連続性」が熱量を高める
企画をつくる上で常に意識しているのは、参加者の「熱量」です。
熱量は一時的に高まったとしても、放っておけばすぐに消えてしまう繊細なものです。そこで、コンテンツを通して参加者の熱量をいかにつくり出し、その熱量をどう変換していくか。その設計が大切です。
こう書くと、人の感情をコントロールしようとしているように誤解されてしまいますが、そうではなく相手にとって何が大切なのかを徹底的にfor youの視点で考え、体験をデザインしていくことが重要だと考えています。
熱量を高めていくために施策を企画し実行する。その際に重要なことが「施策の連続性」です。
↑断片的な施策では熱量の継続向上はできない
↑施策に連続性があることで熱量の向上を実現できる
どれだけ施策を構想し実施したとしても、体験する人にとって施策の関連性が弱く、断片的なものであれば、熱量の移動・醸成は成立せず、そこで停滞・途絶えてしまいます。なので、その人が次の体験へと円滑に移動し、熱量を継続的に高めていくためには、いかに施策の世界観を統一できるか。つまり、施策の連続性を持てるかが肝心です。
これはマーケティングの取組みやユーザー体験など、多くのコンテンツにがいえることだと思います。
ダブルホイールが「施策の連続性」をつくる
熱量の醸成・継続的な向上のためには、施策の連続性が重要。しかし、複数の施策を同じ対象者へ届け続け、連続性を実現し続けることは容易ではありません。
ダブルホイールモデルを構築することで、イベントとコミュニティの熱量の相互作用によって、参加者の熱量を継続的に高めていくことが可能です。
イベントの熱量をコミュニティの熱量へ転換し向上させる
↓
コミュニティの熱量を再度イベントの熱量へ転換し向上させる
↓
イベントの熱量を再度コミュニティの熱量へ転換し向上させる
↓
・
・
・
ダブルホイールを時間軸の観点をふまえて考えると、オンラインイベントによる参加者との「線」でのつながりにコミュニティが加わることで、第三のポイントをつくることができます。
イベントとコミュニティを相互に行き来できる導線を設計することで、「線」であった参加者とのつながりを「面」に広げることができるようになります。
ちなみに、FORCASにて実践している「セミナーとユーザーコミュニティとの連携」が「ダブルホイールモデル」の考え方につながっています。
ダブルホイールモデルによるイベントとコミュニティ運営によって施策の連続性を実現することができます。施策に連続性をもたせることは、今後のマーケティング活動により一層求められるようになると感じています。
「ダブルホイールモデル」を実現するには
ここまでダブルホイールモデルがどのようなもので、熱量の相互作用がもたらすメリットと効果をお話してきました。
ここからは、ダブルホイールモデルを構築するためには、具体的にどのようなポイントを意識して実践しているかについてご紹介したいと思います。
方法1:オンラインイベントにおけるポイント
① オンラインイベントのインタラクティブ性が鍵
オンラインイベントの熱量をつくり出す上で、特に重要視していることが、「視聴者とのインタラクティブ性(双方向性)」です。
リアルイベントとは異なり、オンライン上でのイベント体験はさまざまな制約があります。オンラインイベントにおいて熱量を生みだすためには、視聴者自身が単なる情報の受け手から、能動的な参加者になることが重要だと考えています。
実際ぼくたちのオンラインイベントでは、約1時間強のイベント内で平均500件以上の投稿をチャットでいただきますが、イベントの熱量へつながっていることもデータから分かっています。
イベントにおいてインタラクティブ性を体験していただいた方は、イベントでの熱量が生まれるとともに、その熱量をコミュニティへとつなげてくださいます。コミュニティに参加すること自体、高い熱量がなければ動いていただけません。また、イベントで主体的にコメント投稿をしてくださった方は、引き続きコミュニティでもそのアクションを継続してくださるケースが高いこともポジティブな点です。
ご参考までにインタラクティブ性をつくり出すために実践している具体例をいくつか挙げます。
・アーカイブ(録画)配信はせず、ライブ配信に特化する
・イベント本編は1時間強に収める
・モデレーターがイベントの雰囲気を決める
・モデレーターがチャットの質問を本編に反映する
・Zoomのチャット対応担当者をおく
・オープニング3分間の空気づくりが重要
・スライド等を用いた講義形式を避け、対談形式をメイン
インタラクティブ性をつくりだすための演出や企画づくりはとても重要です。このあたりはまた別途noteを書きたいと思います。
② 同対象者に対するコンテンツのバラエティを多様化する
イベントからコミュニティへ熱量をつないでいくためには、単にイベントをたくさんやれば良いというわけはありません。イベントをたくさんやったとしても、リピートして参加したいただけなければ、イベントで熱量をつくり続けることは机上の空論となります。
そのため、重要なことは同じ人物に対して適切な頻度で接点をつくること。そのためにその方が興味を持ってくれるであろうテーマの軸は変えてはいけません。テーマは変えず、そのテーマの切り口を変えていきます。切り口を変えることで、同じテーマであってもコンテンツのバラエティを増やしていくことができます。
たとえば、SPEEDAでは「新規事業開発」をテーマにしたイベントを月に複数回開催していますが、単に新規事業開発といっても切り口を変えれば、さまざまなコンテンツをつくることができます。そうすれば、同じ新規事業開発ではあっても、毎回違う観点で議論が可能となり、イベントへ参加する熱量も高まります。
ベントのコンテンツバラエティが増えることで、その分コミュニティでも議論するバラエティを増やすことにもつながります。(これは波及効果の章でお話ししました)
コンテンツのつくり方については、6月に取材いただいた記事で一部話してますのでよければご覧ください↓
方法2:コミュニティづくりにおけるポイント
つづいて、ダブルホイールを実現するためにコミュニティで重視しているポイントについてご紹介していきたいと思います。
① 1テーマに絞る
ぼくたちが立ち上げたコミュニティの名称は『SPEEDA New Business Way』。新規事業開発をテーマにしたオンラインイベントから生まれたコミュニティのため、新規事業開発に携わる方々に特化しています。コミュニティのテーマと対象を1テーマに限定することを大切にしています。
この意図は「熱量の醸成」です。たとえば名称を「SPEEDA Event Community」にして、さまざまなテーマで参加者をもっと多く募る機会は増やせるかもしれません。でも、どれだけ人を増やせたとしても、目的やテーマが不明確であれば熱量を保つことは難しいでしょう。
また、「新規事業開発」という同じテーマに携わっている方々が集まっている、という共通認識は心理的安全と仲間意識を形成することにつながります。これはBtoCのコミュニティでは当たり前のことかもしれませんが、BtoB企業のコミュニティも同様に参加者目線でコミュニティを設計することが大切だと思います。
テーマの重要性についてはこちらの記事もよければご参照ください↓
イベントのすべては「テーマ」で決まる
② コミュニティのビジョンを立てる
「SPEEDA New Business Way」コミュニティを創設後、コミュニティの熱量をどのように維持し、高めていくことができるかを考える中で、「コミュニティに方向性をつくることが重要なのではないか」という考えに至りました。
同じ課題やテーマを共有し合える人が集うコミュニティは、情報交換やお互いを支え合う関係づくりでも確かに熱量は生まれると思います。しかしそれだけで熱量を持続可能なものなのか。
ぼくたちの運営するコミュニティは、参加者にとって「なくてはならないもの」にはなりきれていません。なくてはならないものを熱量をもって続けていくためには、目的意識が必要となります。これは運営者であるぼくたちにとっても同様に言えることです。
そこで、ぼくたちとコミュニティメンバー、全員が同じ目的に向かって、コミュニティを活性化していけるように決めたのが、ビジョンです。
「SPEEDA New Business Way」で掲げたビジョンはこちら↓
- Community Vision -
新規事業における再現性のあるノウハウを共創する
新規事業における再現性のあるノウハウを共創し、
新規事業の無駄をなくし、やるべきことに集中できる環境をつくる。
それによって企業の進化にスピードをもたらせる
長くなるので経緯はふれませんが、このビジョンはぼくが普段新規事業に携わる方々とお話する中で抱いた課題を元に起草しました。
ビジョンは単に歯切れのよい言葉ではなく、全員が腹落ちしてともに走ることができるものでなければ意味がありません。そこで、起草したビジョンをコミュニティメンバーへ伝え、合意をいただきました。
ビジョンが決まったことで、ぼくたちのコミュニティには明確な目的と目指す方向性が生まれ、さらに活動を加速していくことができています。
③ コミュニティの期限をつくる
「SPEEDA New Business Way」ではコミュニティの「期限」を設けています。2020年年内一杯の期限付きでの運営をしています。
これは100人カイギというイベントを主催されている高嶋さんとお話している際に思いついたことでした。100人カイギも100人登壇してもらったら終了するという期限があるそうです。
期限を決めることで参加者と運営者の熱量を集中することができます。期限を設けることはもったいないようにも思いますが、結果的に良いコミュニティをつくれるのではないか、という考えに至りました。
そこで、ビジョンを決めると同時に、コミュニティの期限を今年2020年12月31日までとすることにし、コミュニティメンバーへその旨を公開しました。
期限を決めることに対しては反対意見も結構出るかなと懸念していましたが、蓋を開けてみると皆さん賛同を示してくれました。たくさんの応援メッセージも個別でいただき、胸が高まりました。期限が決まっているからこそ、みんなで良い時間とプロジェクトを創り上げようというムードが醸成できていると感じています。
④ イベント担当とコミュニティマネージャーを兼任するメンバーの存在
↑セミナー担当&コミュニティマネージャーの斎藤(写真左)
ぼくたちのコミュニティが熱量高く続けられているのは、熱量の高いコミュニティマネージャーの存在が大きいです。
創設から現在までコミュニティマネージャーとして、ぼくたちのコミュニティを盛り上げ続けてくれているのは、マーケのメンバーであり、SPEEDAセミナーを担当してくれている斎藤可奈(上部写真左。社内では「ぱっちょ」と呼ばれています)です。
斎藤はSPEEDAセミナーの企画運営とともに、セミナー本番では司会も務めてくれています。コミュニティ活動においても、コミュニティメンバー主催のミートアップや勉強会にも積極的に参加したり、新メンバーへもコミュニケーションをとるなどつながりを深めてくれています。そして、後述するL.N.Aプロジェクトも中心メンバーとして推進してくれています。どのコミュニティにとってもいえることだと思いますが、コミュニティマネージャーの熱量こそがコミュニティ全体の熱量をつくりあげていることを実感しています。
イベント担当がコミュニティマネージャーを兼任してくれることは、ダブルホイールモデルを実現する上で大きな要素だと思います。参加者がイベントとコミュニティを行き来する流れをつくるためには、同じ世界観・体験が続いていること(施策の連続性)が重要です。その空間をつくってくれている担当者が同じ人であることは、それぞれの体験に統一性をつくります。
また、イベント参加者がコミュニティへ参加する際も、イベントで司会を努めていた見慣れた人が、コミュニティでもフォローしてくれることは、参加者の心理的安全につながっていると思います。
ダブルホイールモデルから生まれた新たな流れ「L.N.Aプロジェクト」
コミュニティメンバーやイベント出演者とのつながりが深まっていくにつれて、新たな取り組みもスタートしました。それが「L.N.Aプロジェクト」です。
「SPEEDA New Business Way」では「新規事業における再現性のあるノウハウを共創する」をビジョンとして掲げ、さまざまなディスカッションや交流を行っていただいていますが、その熱量を具体的なカタチに落とし込めないだろうかと考えていました。
ぼくたちのコミュニティにはイントレプレナーから新規事業プログラムの運営者、そして大企業の経営者にいたるまで、新規事業開発に携わるさまざまな方々が参加してくださっています。また、オンラインイベントにおいても同様に毎回豪華なゲストが出演してくださり、ご自身の経験に基づく知見をご紹介いただいています。
コミュニティメンバー、そしてイベント出演者の方々の知見を、具体的なカタチに落とし込めば、日本企業の新規事業にとって役立つものをつくりだすことができるのではないか。そこで思いついたのが、ハンドブックプロジェクトです。
そこで、イベントにご出演いただいた方々やコミュニティの中で積極的に活動してくださっている方々にお声がけし、ハンドブックの編纂メンバーとしてプロジェクトを開始しました。このプロジェクトを「L.N.Aプロジェクト」と名付け、隔週で新規事業に関連するテーマを深堀るディスカッションをしています。
↑L.N.Aプロジェクトの編纂メンバー。過去のイベント出演者やコミュニティ内で積極的に交流会を主催してくださっている方等に集まっていただいています(テーマに応じてコミュニティの中から有志の方も参加)
オープン&フェアな関係をつくる
L.N.Aプロジェクトは、編纂メンバーによるクローズドのプロジェクトではありません。コミュニティメンバー全員でつくっていきたいという想いがあります。
そこで、プロジェクトの中心になっていただいている編纂メンバーの方々との議論の進捗や内容はクローズドに留めず、コミュニティ内でオープンにシェアしています。そのため、テーマごとにまとめた内容をFacebookグループでも共有しています。
また、編纂メンバーと議論する新テーマのたびに、コミュニティ内でそのテーマのミートアップを開催し、コミュニティメンバーもその議論に参加できる形にしています。ミートアップで頂いた見解は、L.N.Aの編纂メンバーとの議論に反映しています。
運営者、参加者問わず、オープンかつフェアな関係をつくる。
まだ直接出会ったことがない方々同士が参加しているオンラインコミュニティだからこそ、情報のオープンさが心理的安全と協調性をつくる上でとても大切だと考えています。
L.N.Aプロジェクトは現在も議論をすすめ、毎回異なるテーマにそってご自身の経験を元にした見解を話し合っています。最高のメンバーに集まっていただき、毎回勉強になりながら、楽しい時間を過ごさせていただいています。このプロジェクトを進めていく中で、メンバーの方々との絆は強くなり、ともに新しい挑戦を創ることを実現できています。
おわりに:新たな挑戦を共創し続ける
↑コミュニティメンバー&過去のイベント出演者さんを招いてオンライン飲み会。めちゃめちゃ楽しかった
今回は、オンラインイベントとコミュニティを両輪で回すことで、それぞれの熱量を転換し合い、相互作用をつくる「ダブルホイールモデル」についてご紹介しました。
ダブルホイールモデルは、イベントやコミュニティに参加してくださる方々により一層価値を感じていただくことが目的であり、自分たちの都合の良いように人をコントロールするためのものではありません。体験を通していかに熱量をつくり出すことができるのか。それを参加者の立場に立って徹底的に考える続けることが、ぼくたちの責任であり、醍醐味だと思います。
最後に、イベントやコミュニティに参加してくださる方々、またぼくたちのコンテンツやプロジェクトに協力いただける方々、皆さんがいてくださってこそ、ともに新しい挑戦を創り続けることができています。本当に感謝です。ぼくたちの上げた狼煙に集ってくださった皆さんとともに、これからも共創しながら新しいカタチをつくっていきたいと思います。
まだまだ試行錯誤の連続ですが、ぼくたちの取組みが参考になれば幸いです。今回も長文を読んでくださり、ありがとうございました。
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