KONAMIN ROCK FESTIVAL' 2023に参戦しました
KONAMIN ROCK FESTIVAL' 2023(#こなみんフェス)とは
ポートレートモデルでもあり、フォトグラファーでもある佐野小波さんの活動10周年を記念して企画されたのが「こなみんフェス」。
単なるギャラリーでの写真展の枠を大幅に超えた、まさにロックフェスを想起させる展示企画に参加(参戦という表現の方がふさわしいか)させてもらうことになりました。
場所は渋谷のGallary Conceal(ビルの4階でエレベーターもないのに多数の来場ありがとうございました)で開催。
期間は2023年12月11日19時から2023年12月17日の19時まで。ギャラリーのオープン時間は最終日以外は12時から23時までと中々にロングランでした。
展示した写真撮影の裏話
撮影の構想
フツーの写真展にはならないだろうってことは容易に想像がつきましたし、同じ場所で行われていた漫画脳展やアイドンノー展をみると、こりゃ相当ぶっ飛んだ内容にしないと埋没するな、と。
(当日の設営で皆さんの展示が本当にぶっ飛びすぎていて自分はまだまだだと思い知ることになるわけですけど)
さらに作品のテーマは「アイデンティティ」となっていて、結構頭抱えました。
駄菓子菓子、写真展である以上、それなりの節度は踏まえつつ、自分には何ができるか、今まで佐野小波という被写体をどう撮ってきたかということを再度棚卸しをしまして。そういやリク撮って鉄道撮りが多かったなと改めて思い直しましてね。
どうせやるならてっぺん取ろうということで「日本一の秘境駅」での駅撮なら誰もやらないだろうし、いいんじゃね?ってことで計画を練り練りしました。
秘境駅とは
佐野小波さんが旅好き、鉄道好きだっていうことは以前から聞いていまして、過去にも黒部、鳥取、奥只見あたりで鉄道を絡めた撮影をしていたのですが、秘境駅となるとなかなかハードルも高いです。
秘境駅に関する説明はWikipediaを見ていただくことにして、中でも「日本一の秘境駅」は北海道豊浦町に存在するJR北海道 室蘭本線の小幌駅、と言われています。
JR北海道室蘭本線小幌駅(日本一の秘境駅)
豊浦町の説明では「日本一の秘境駅と呼ばれるJR北海道 室蘭本線の「小幌駅」。トンネルとトンネルの間、そのわずか80mほどの限られた空間の中に存在し、道路も隣接していなければ、近隣に住民もいない秘境中の秘境駅。豊浦町に立ち寄ったらぜひ訪問してほしいスポットです。」
となっていて、とにかく駅の存在意義そのものを問われるような場所。
そんな駅なので1日の乗降客数が1人以下と言われていて、いつ廃止になってもおかしくないところを豊浦町がここを観光名所にしたいらしく駅の管理は町が行なっている、という話。秘境駅到達証明書なるものも出してもらえたようですが、時間の都合でこれは断念。
実際に行ってみると鉄オタと言われる人たちが乗降しているので実はもっと使われているように見えますが、単なる鉄オタの聖地で全く実用にはなってません(苦笑)。
現地までの行程と撮影プラン
撮影のための遠征なので、あらかじめきちっと計画を立てておかないと、現地で本当に痛い目に遭いますし、撮り直しはできないので事前準備は怠りなく行いました。
せっかく北海道へ行くので、全行程は1泊2日として、小幌駅での撮影は2日目の午後に設定。これはこの駅に到達し、離脱する時刻の関係からです。何と言っても1日上下2本ずつしか停車しないというのは結構大変。
撮影に行った2023年10月16日のダイヤでは、室蘭本線上り長万部行きに乗って小幌駅到着が15時06分、小幌駅滞在44分後、下り小幌駅15時50分発東室蘭行きに乗って離脱、新千歳空港 に向かうというのが確実な線でしたので、これに沿って撮影プランを組んだわけです。
前日の撮影の話など
折角北海道まで行って撮影するのに撮影時間が実質30分で戻ってくるのは流石に勿体無いので、前日から北海道入りして少し気になっていた場所にも行きました。
ここ数年JR北海道では赤字ローカル線の廃止が続いていまして、思いつくだけでも日高本線の鵡川〜様似、留萌本線の石狩沼田〜留萌〜増毛、札沼線の北海道医療大学〜新十津川が廃止、また無人駅の廃止も多く営業している間に訪問しておきたいという意図もありまして。
根室本線富良野〜新得間は2024年4月1日付で廃止が決まっていまして、中でも東鹿越〜新得間は災害復旧がなされずバス代行のまま廃止ということになります。富良野〜東鹿越の間は1日4.5往復の列車が行き来していますが、ここも利用客がいない(行った日は多数の乗りテツが乗っていた!)ことから合わせて廃止の対象ということでしたので、この辺の撮影に行きました。
この辺の駅撮は秘境駅でもないので単純に旭川空港からレンタカーを使って美瑛あたりで撮影しながら駅撮をやるという感じでした。
この辺の写真は一緒に展示したブックの中にも含めました。
おまけその1(初日の写真から)
小幌駅での撮影
前述した通り小幌に15時06分に到着するためには札幌を12時09分に出る特急北斗12号に乗って途中駅の洞爺で14時42分発の長万部行きに乗り換えるというのが、旅程的な安全率を見込んでも確実ということでこの経路を取りました。洞爺では30分くらいの接続時間ができましたので、ちょっと歩いて近くの海岸で撮影なども。光の加減を確認するなんてことも大事な作業です。
長万部行きはJR北海道の最新鋭電気式気動車H100型が1両できました。乗った感じはほぼ電車に近く、車内もガラガラだったので、こりゃ貸切状態で撮影ができると思っていたら、世の中そうは甘くない。
一つ手前の礼文駅でゾロゾロとなんか危ない雰囲気を漂わせた人たちが乗り込んできて、まさかと思っていたら全員小幌駅で下車。結果8人くらいが駅に滞在する状態での撮影となりまして、広角使うと色々入ってくるので泣く泣く中望遠〜望遠を使った抜き的な構図が多くなったのがちょっとね、というところでした。広角で撮って消すって話もあったけど、そういうのやりたくないんですよ。
途中、特急や貨物列車の通過を見送ったりしながら30分くらい撮影して、定刻通りやってきた東室蘭行きに乗車。あとは洞爺〜南千歳〜新千歳空港と乗り継いで帰ってきました。
北海道の鉄旅は、鹿にぶつかるとか、車両の不具合が発生して20分くらい止まるとか(今回はこれにやられて空港での晩飯時間が削られた)、不測の事態が発生することがあるので、時間には余裕を持った行動が肝要です。
おまけその2(小幌駅で撮影した写真)
展示の準備と仕掛けの話など
写真をどう見せたら良いか
展示の仕掛けというか、どうやって写真を見せるか、ということには毎回頭を悩まされます。
このnoteでもさまざまな展示方法を紹介してきていますが、今回は額装とか、格式ばった手法は合わないんじゃね?ってことで(要は屋外のフェスにクラシックの弦楽四重奏団は少し違うかなっていうあの感じ)もう少しカジュアルな展示にしようと。
天井が高いので上部はタペストリーで埋めて、普通の展示に使う高さは直張りでやろうと。それだけじゃつまらないので、ブック作って、え〜い、小幌駅のジオラマも作ってしまえってことで結局全部やっちゃいました。
タペストリー
こちらはOre写真展でも使ったABポスターさんにお願いして、B1横サイズの防炎クロスにプリント、これをタペストリー加工してもらいました。
直張りプリント
壁の感じが割とラフなのと、照明の色温度がバラバラらしいという話だったので、アワガミファクトリーの「びざん 生成 (中厚口) 手漉き紙 200g/m2」を使いました。固定は画鋲を壁に差し込み、百均で手に入るネオジム磁石で挟むことで済ませました。紙に穴も開かないし、展示も撤収も簡単なのでこれは結構使えそうな感じでした。
プリントは撮影した時のアスペクト比をそのまま持ち込んだので、余白も適当になりましたが、直張りと生成和紙の組み合わせだと版画のような感じに見えて悪くなかったです。
鉄道模型のジオラマ
なんかこれだけじゃ物足りないなってことで、さらに自分にできることを考えて、小幌くらいの駅のサイズなら小さなジオラマを作れるんじゃないかってことえ、色々と調べるとなんかやれそう。
ケースは百均で買ってきて、その大きさに収まるようなら大した作業にもならないだろうってことで以下の材料を家の近所の模型屋で揃えました。
・TOMY TECジオコレ 北国の無人駅
・TOMIX FineTrack ストレートレール
・グリーンマックス着色済ストラクチャー 単線トンネルポータル(非電化)
・TOMIX シーナリーバラスト
・KATO 日本の草はら
駅ホームとレールは木工用ボンドでケースの土台に固定。バラストと呼ばれる砂利の固定は木工用ボンドを水で薄めたものに台所用洗剤を1滴加えた溶液をスポイトで垂らして行います。この辺りの作業は鉄道模型のレイアウト製作入門書などに詳しく書いてあるのでここでは割愛します。砂利の上の草撒きなんかも同じような感じで進めます。
人形の模型も売られているので、これは瞬間接着剤でホーム上へ固定。背景は実写の写真をいい感じに縮小してプリントしたものを使いました。
ブックの作成
今回ブックも作ることにして、2022-2023で撮影した鉄道ポートレート系のものを集めました。ちょうどいい具合に撮っていたので、こちらもどうにかまとまりました。製本はしまうま出版にお願いしました。
展示の実際
Wave Stage 「乗るしかない!このビッグウェーブに!」
Wave Stageという場所での展示でした。Wave Stageはニューカマ&新しい手法「乗るしかない!このビッグウェーブに!」という部屋のテーマがありましたが、果たしてそれに見合っていたかどうかは皆さんの感じた通りかなと。
この部屋は出展者のオタク心を垣間見れる感じで、中にいて実に居心地が良かったのもまた事実で、結局フェス開催期間は皆勤。周りの出展者さんとも仲良くなったりして、実は自分がかなり楽しんでいました。
祭りの後
毎日テンション高く過ごしていたので、フェスが終わってしまうと離脱症状が激しくてほぼ抜け殻です。とはいえ、次もあるのでまたぼちぼちとやって行きます。
最後に
フェスの期間中Gallery Conceilへご来場いただいた方々に厚く御礼申し上げます。また今回このような機会に声をかけていただいた佐野小波さん、フェスの企画運営の陰の立役者のケンタソーヤングさんには言葉では表せないくらい感謝しております。どうもありがとうございました。
それではまたどこかでお会いしましょう。
2023年12月20日
なお@LPN
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