「何者でもない僕のこれまで」中編
僕に100万円出資したいおじさん
100万円おじさんのお話の前に、
2017年の2月に新宿に引っ越しました。
家賃20,000円から家賃60,000円になりました。(出世!)
その家も、ルームシェアです。メンバーは前と一緒でした。
▲こんな部屋でした
新宿の、ど真ん中に住んでみる
男3人で一緒に引っ越すって余程仲がいいんだなと思われると思います。
確かに喧嘩も少なかったし、食生活や趣味も似ていたのでいい事のほうが多かったです。新宿はいい街でした。夜中にいつでも映画館に行けたし、(バルト9まで3分!)美味しいラーメンもあったし、どこに行くにも不便しなかった。最寄りのスーパーは高島屋の地下でした。笑
話を戻します。
H社長に連れられて異業種交流会に参加した時、
周りがスーツのおじさんだらけの中、一際おしゃれなジャケパン姿の60歳くらいの男性がいました。名刺交換をすると、代官山を中心にファッション業界で長年事業を展開されているアパレル会社のY社長でした。
H社長に
「この会の中だとY社長が断然シナジーがありそうだから、とりあえず今日中にアポ取るのコミットしな」
と、また如何にもビジネスマンぽい用語を並べて耳打ちされました。
変に考えても仕方ないので、その通り、
「今度の土曜日、オフィスに遊びに行かせていただく事できませんか?」と自分からアポをとりました。
特に用事はないといえばないですが、営業をしようと思っていました。
そして次の土曜日。代官山。
自社ビルの3階にあるY社長の個人オフィスにお邪魔しました。
デスクの後ろにはルイヴィトンのトランクが並んでいて、テーブルの上はモンブランのペンや小物入れがありました。僕は上品な黒革のソファに腰掛け、エビアンを一本もらいました。
「お〜〜ワン、よく来たよく来た。で、どんな仕事してるんだっけ」
2時間くらい話しました。
僕のこれまでして来た事、Y社長のこれまでの苦労、築き上げた人脈、仕事。。学ぶことがたくさんありました。
そして陽も落ちて来た夕方ごろ、
「ワン、会社にしたほうがいい。100万円出資する。だから法人化すべきだ」
と、言われました。
一年でも早く法人化して、信頼を築き上げて行く事の大切さ。
法人化すればたくさんのメリットがある。
融資を受けて大きな予算の仕事にも対応できるようにする。
Y社長の子会社として、クライアントをたくさん紹介できる。
オフィスも貸す。
などなど、、、その時の僕には思ってもない大チャンス。
目から鱗でした。
その日は話を持ち帰り、考えてみることにしました。
帰ってからルームメイトにももちろん相談しました。
H社長の右腕の方にも相談に乗ってもらったり。
話し合った結果、
「100万出してください!」
と言うことに決めました。
ただ、僕には一つ、Y社長に
どうしても言っておきたい秘密
がありました。
後日。またY社長に会いに行きました。
「おお〜〜よく来たよく来た」
Y社長はいつも明るい。
前回の出資のお話を受けたいと述べ、
その代わり、一つ言っておかなければならないことがあります。と言いました。
借金を背負っていた僕!
それは、借金でした。
クレジットカードやローンを合計すると、400万円弱の返済が残っていました。俳優の頃からバイト代だけでは賄いきれなかった生活費や交際費が少しずつ膨れ上がっていました。これから正直な関係でいるために、それは伝えておきたかった。会社にした後融資を受けようとしても、受けられない可能性がある。
Y社長の反応は。。。
「誰か他にそれ肩代わりしてくれそうな人いないの?」
でした。
親、親戚、先輩、友人___誰かに返済してもらって、
地道にその人に返して行くしかないと。
ごもっともです。でも、
Y社長は肩代わりしてくれないんだ。
と正直思いました。
本当に僕にシナジーを感じ、才能を感じ、将来性を感じたなら、
貸してくれたっていい。わざわざ親にいう必要もない。
でもY社長に「貸してください」とは言えなかった。
▲その当時担当していたTSUTAYA歌舞伎町店のレビュー
後日、父の紹介の紹介で出会ったS社長に会いに行った。
と言っても、2年前にクルージングに連れて行ってもらったくらいで、
親しいわけではなかった。
借金を肩代わりしてくれるS社長の登場
(社長が3人登場してわかりにくいかも。H社長は僕のバイト先の社長。Y社長は100万円おじさん。S社長は今出てきた)
S社長には、銀座の高級寿司屋に連れて行ってもらった。
カウンターだったので、話しづらいな。。と思ったけど、全部話しました。
「そういう話だろうと思ったよ」
と言われました。
寿司屋の板前さんも一緒に聞いてました。
「ここの寿司屋の板前さんは、こういう話聞き慣れてるから」
と、なんだか味方が増えたようでした。
S社長が出した結論は、
「僕が肩代わりする。その代わり条件がある。その出資してくれるY社長に聞いてみて欲しい。『Y社長に肩代わりして欲しいです』と」
??
「どちらにしても僕が肩代わりする。でも、そのY社長が肩代わりしてくれないと言ったら、そのY社長のもとで会社を作るのは、考え直した方がいい」
つまりS社長からすれば、100万円の出資をするのに、借金を肩代わりしないというのは、どうも気になる。ということらしい。
「なんとしてでも出資したい相手なら、もう400万円くらい普通は出すよ。リスクを取らずに、ワンが成功した時だけ配当金欲しがると思うよ」
S社長。スケールがでかい。。。
ということで、いずれにしてもS社長が肩代わりしてくれることになった。
しかし、実は話はこれで終わらなかった。
親に全てバレる
その翌々日。父親から電話がかかってきた。
「聞いたぞ」と!!!!!
そのS社長は親の知り合いの知り合いだったので、
S社長が知り合いに言って、
その知り合いが僕の親に話してしまったのです。
(チクったな!!と思いました)
撃沈。親には知られたくなかった。
それはそれは叱られました。
結局、親には、
「借金を肩代わりしてもらうなんて筋違い。
私たちが肩代わりする」
と言われました。
ありがとうとごめんなさいしか言えませんでした。
これから少しずつ親に返していくことになりました。
100万円貰って起業!という話が、今の自分の立場に全く見合わない、
夢物語になってしまったように感じました。
▲2016年からプロデュースさせてもらっているユニット「女優倶楽部」
▲WEBドラマ「いつか真夜中のてっぺん」(監督・脚本)2018年
地に足をつけて、もう一度自分の仕事を見直そう。
Y社長の起業の話は、今じゃない、と思いました。
僕が一生かけて一緒に組む相手はこの人ではない。とも思いました。
楽して起業してもその先はない、そもそも僕になんの技術があるというのか。起業は誰でもできるけど、その先本当にやっていけるのか。
もう一度修行し直そう。
考えた末、僕の出した結論は、
「1年間の武者修行」でした。
前編・後編で終えるはずが、長くなってしまいました。
なので今回は中編、ということにします。笑
続きはまた書きます。
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