育てる|適切なスペース
ヨガの知識を子育てにー
成長には、ある程度のスペースが必要なのでは?という話です。
にんじんなどの小さな種を蒔くと、たくさん芽が出てきます。
でも、ある程度の大きさになったら、苗が密集していると育ちが妨げられてしまうので「間引き」をします。
それと同じように、子どもを育てるのにも、段階によって適切なスペースが必要なのかもしれません。
お腹を空かせている、衛生面で助けが必要、など生存に必要なサポートは基本的なものとして、それ以外の場面で、どのくらい子どもさんにスペースを与えていますか?
わたしは、お世話をやり過ぎてしまう傾向にありました。
自分の子どもが小さい時も、もっとスペースをあげるべきだったな、と思うことが多々あります。心配だという気持ちもあるし、お世話をしたい、また、わたしがやったら早く終わる、という気持ちもあったからです。
スペシャルニーズのお子さんと時間を過ごす時も、ついやり過ぎてしまった事があって、クラスの先生に「もうあのお子さんの世話はしなくていいから」と言われたことがあります。わたしがその子どもさんといると、その子の目標が達成できないから、と。
わたしは3歳ー5歳の年代が一番好きなのですが、そこでの最終ゴールは子どもの『自立』 です。年齢に相応しい「自立」ではなく、そのお子さんにとっての「自立」です。
例えば冬なら、一人でコートを脱いでフックにかける→自分の名前/写真を見つける→手を洗う(水を出し、石鹸を使い、洗い、水を止め、ペーパータオルで手を拭く、捨てる)など、基本なところから。
「コートを脱いでフックにかける」という動きも、小さいレベルに細分化して、目標を達成しやすくします。コートを一人で脱ぐ事が難しかったら、ただ脱ぎ落とすだけ(笑)で良い位まで脱がしてあげて、最後は一人で脱がせる、とか、フックにかけるのが難しかったら、(もっと簡単に)箱に入れるだけで良しとする、とか、そのお子さんが出来るであろう目標に修正していきます。
ここで、お手伝いする「仕事」をするのであれば、子どもさんに適切なスペースを与える事が「仕事」になるのです。どんどん代わりにやってあげるのではなく「出来るような環境を整える」方に力を入れた方が、子どもさんの為になるわけです。ある時は、狭く濃厚なスペースが必要だし、ある時は広く手薄なスペースが必要なんだ、と気付かされました。
ヨガでも、『空』を大事にします。
ヨガの姉妹科学であるアユールヴェーダの考えにつながるのですが、人間を含むすべてのものは、5つの要素から成り立つと言われています。空(エーテル)、風、火、水、土の5つです。
人の身体で例えると、
空:骨と骨の間にある空間(スペース)、内臓の空間など
風:呼吸、体内の流れ(血液や消化の流れなど)
火:体温、消化力など
水:血液、リンパ液、尿など
土:肉体
もし骨と骨の間にスペースがなかったら、骨を動かせないので、体を動かす事ができません。スペースのおかげで、わたし達は生きていられるのです。
というわけで、子どもさんの周りには、適切なスペースがありますか?
追記)この適切なスペースは、いかなる人間関係にも共通して言えることかもしれません。お子さんのお世話だけでなく、高齢者のお世話でも。