
新しいロボット制御アルゴリズムで大きな前進
どうも、じぇいかわさきです。
興味のない方の方が多いので、あまり知られていないと思いますが、ロボット制御っていうのはロボットメーカー独自のOSで動いています。
しかも、どう動くのかはそのロボットを操作する人の技量に掛かっているんですよね。いわゆるティーチングと言う方法で動作を決めているんです。
今回、新しいロボット制御アルゴリズムをとあるメーカーが開発したんです。その制御アルゴリズムを使用することで、ロボット操作が大きく前進し活用範囲を拡大する勢いなんです。
今回は、そんな新しいアルゴリズムによりどう変わるのかをお話していきます。
物を避け原点に戻ることができるようになった!
さて、物を避けて原点復帰することがなんでスゴイの?って殆どの人は思うでしょうね。
ロボットのプログラムというのは、人が作業動作に準じてティーチングと言う方法を用いて、ロボットの動作順番をプログラムしていきます。
実はこのプログラム、ロボットメーカー毎に異なっているので、全てのロボットメーカーの操作をプログラムできる人って、はっきり言って居ないと思います。
なぜなら、その会社ごとに使用しているロボットが違うから、最初に入れたロボットメーカーでその後もずっと使っていくのが理由なんです。
人がロボットの姿勢や動作順路を決めてプログラムしていくわけですから、それは途中に何か遮るものとかアクシデントが発生しないことを条件に作られています。
仮に、何かの影響でロボット動作が停止した場合、ロボットは途中から継続して動くことができないので、一度原点と言われるスタート地点に戻ってから再スタートになります。
当然、ロボットは意思を持っていませんから、トラブルによりストップし原点復帰をさせるためには、ティーチングができるエンジニアが原点復帰の操作をして原点に戻し再起動させます。
それが、リーマン計量と言う微分幾何学理論を使った障害回避アルゴリズムにより、ロボットアームが障害物を回避して原点位置に戻ることができるようになったようなんです。
今までは、ぶつかるしか無かった動作が障害物を避ける動作をするんですよ。しかも、物を避けることで非常停止しても、自動で原点に戻り再スタートするなんて、今までなら考えられない事ですよね。
ついにそういう事ができる技術が開発されたんです。
この技術で何が変わるのか?
この技術を使って、作業現場はどのように変わっていくのでしょうか?
現状実施されている、リスクアセス用のエリアセンサーとの併用を考えると、エリアセンサーのセンシングで現在どの箇所に障害物が有るのかを検知します。
検知した時点で、ロボット動作速度を減速させ障害回避の準備動作に入ります。
加えて、今回開発された障害回避アルゴリズムを使えばロボットアームが、障害物を開始してくれるので、今までのような事故の発生は極限まで抑えられるようになるんです。
更に、その他の技術として3次元オブジェクト認識技術というものを使用すると、あらゆる物体に対して分別と掴み点の自動判定が可能になるんです。
そうするとどうなるか分かりますか?
一のロボットハンドで、サイズや形状の違う物体を掴んで移動したりすることができるようになるので、多品種少量生産に対してもロボットハンドの交換をしなくても使えるようになります。
そして、先の危険回避アルゴリズムを使えば製品サイズの違いにより、ロボットの動作範囲が変わったとしても、アルゴリズムで自動計算して危険を回避するので、同じロボットで作業が可能となります。
これは多品種少量生産による段取り改善に大きく寄与するので、生産性をキープしながら多品種少量生産に対応できるということですね。
そして不具合終了時に原点復帰するカラクリは、実は今回開発したアルゴリズムを使うことにより、仮想空間上で自動的に移動経路を生成することができるようになったのです。
これは何を意味しているか分かりますか?
つまり、作業点だけを指定すればアルゴリズムが移動動作を全て自動計算して生成するのでティーチングが一切いらないということになるのです。
従って、緊急停止した時の次の動作は原点復帰位置を指定しておけば、自動で原点復帰するルートを生成するんですね。
そうティーチングが不要になるということは、専門的に作業スタイルに合わせたプログラムを作る技術者が不要になるということですね。
実際には不要になることは無いと思いますが、それでも大人数はいらなくなるので、安全面と合わせて普及へのトリガーになるでしょう。
危険回避がもたらす世界
現在のロボット生産ラインは、ロボットの動作範囲内には人もその他の機器も入らないように、一定の領域を確保して成り立っています。
裏を返すと、非常にフロアを潤沢に使用していることになるので、フロア生産性が非常に悪くなります。
しかし、そうしないと安全面で大きな支障をきたすことになり、フロア生産性よりも実質の生産性に的を絞っているということになります。
しかし、危険回避ができるようになるとどうなると思いますか?
ロボットの動作範囲が決まっていても、ロボットが動作中に危険回避で一旦停止したり避けたりすることができりたら、作業距離はかなり縮める事ができるようになります。
そうすれば、実際の生産性に加えてフロア生産性も向上しますから、同一フロア内にロボットラインの設置本数が増えることになるので、そのフロアでの生産性は倍増することになりますね。
労働者の高齢化や、今回のコロナの影響などにより作業者確保が困難になってきた場合でも、ロボットの対応範囲が拡大することにより、生産の補完をする場所が増えるので、製造業界にとっては喜ばしいことだと思います。
今のティーチングなどをするエンジニアより、実際の導入工程や生産プロセス検討をするエンジニアの増強に今後は力を入れていくべきですね。
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