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メルエム
約2年ぶりに美容室に行った。
いつもは1000円カットで済ますのだが、紹介割で半額ということもありパーマをかけることにしたの だ。
着くや否やカルテなるものを書かされた。そうか、こちらが少しでも満足するように最善を尽くしてくれるのか。
項目は髪質の悩み、パーマやカラーなど過去の施術歴、そして施術中の会話の希望などだ。
確かに美容師との会話には困ることが多い。
別に僕は話したいと思わない。
「静かにしたい」という欄にチェックしようとしたが思いとどまった。
美容師は学校で会話の授業もあると聞いたことがある。時間をかけて学んだのに会話を拒否することは失礼なのではないか。
その他の欄にチェックを入れ、「ほどほどに話せればと思います。」と書いた。
しかし黒ペンでそれを塗り潰した。
逆に難しい要望になる気がした。
そして、静かしたい にチェックを入れカルテを渡した。
申し訳ない。
そして施術が始まった。
僕と同じ年頃の女性だ。
まあ普通の子だ。
怒涛のように話しかけてきた。
髪を切っている間、くるくると巻いている間、まるで興味のないジャニーズの話をこれでもか浴びせられた。
カルテは?
そう思っているうちに頭はタオルとパーマの器具により、メルエムのようになっている。
ここからは待ち時間だ。
液が髪に浸透するのを待つ。
ようやく解放される。
すぐに僕は眠りに落ちた。
とりますね。とりますね。
声が聞こえてきた。
コムギ、もうちょっと寝かしてくれ。
とりますね。
鏡に映るはあの女だ。
食べてやろうか。
パーマは最高の仕上がりでした。
ありがとうございました。