仮面ライダーアマゾンズseason2 LastEpisode「AMAZONZ」ネタバレ注意 大首領になれなかった少年
アマゾンプライムビデオで配信されていた「仮面ライダーアマゾンズ」その続編であるseason2の最終回が配信開始されてから、はや一ヶ月以上経っている。前作から五年後を舞台に、主人公を変更して視聴者に伝えたかったものとは何か。
「この時の作者の気持ちを答えなさい」よく国語のテストで出題されるこの問題が、今も私を悩ませている。仮面ライダーアマゾンズseason2、その最終回とは、それほどのものであった。
仮面ライダーアマゾンズseason2にてその新たな主人公である千翼(ちひろ)/アマゾンネオは、当初謎の存在として描かれる。なぜかアマゾンドライバーのようなもの(要するに変身ベルト)を持ち、なぜか(怪物としてのではなく、アルファやオメガのような仮面ライダーとしての)アマゾンに変身する。そして、なぜか不良のようなグループの一員として人を食う怪物であるアマゾン狩りをするのである。
物語が進むにつれて、千翼の謎は徐々に明らかになっていく。前作主人公のひとりである鷹山仁 / アマゾンアルファと、そのバディ的な存在であった泉七羽の息子である(アマゾン細胞の力で通常の人間よりも成長速度が速いらしい)ばかりではなく、彼の細胞を水に溶かしたものを人間が飲めば誰でも人を食う怪物であるアマゾンとなる可能性がある(絶対に誰でもそうなるわけではないらしいが詳細は不明)。
それを知った彼は一体どうするのか。そして、周囲の人間や前作の主人公たちを含むアマゾンは彼をどうするのか。仮面ライダーアマゾンズの「season2」とは、そういう物語であった。はずなのだが……
千翼の実の父親であり、作中における全てのアマゾンの生みの親とも言える「アマゾンを狩るために自らもアマゾンとなった」鷹山仁はもちろん「人間もアマゾンも関係なく守りたい者を守る」水澤悠 / アマゾンオメガからも危険すぎる存在として命を狙われ、母である七羽/クラゲアマゾンや、仲間であるはずのマモル/モグラアマゾンたちも、彼の力を利用しながらも積極的に千翼を助けようと行動を起こすことはなかった。
死体にアマゾン細胞を移植することで生まれた、シグマタイプと呼ばれるアマゾンであるイユ / カラスアマゾンのみが一時は自我を取り戻しかけて千翼の身を案じ命を救う場面もあったのだが、イユは自らを蘇らせた対アマゾン用の特殊対策機関4Cの制御を離れたことで処分されてしまう。
アマゾンであれば人を喰う。のであれば殺すしかない。ましてや本人の意思に関わらず、いくらでもアマゾンを増やす危険がある。であるのならば……そういった設定と状況に置かれた千翼は、死んだ。そうなることを定められ、なんの救いもなく。「もし違う道を選んでいたら」「あのときああしていれば」などという選択肢は、彼には与えられなかった。死ぬしかなかった。殺されるしか。
「仮面ライダーアマゾンズseason2」は最終回を迎えたがアマゾンズの物語において根本的な問題は解決しておらず、また本編ラストでのある登場人物の言動からも続編があるのではという予想、あるいは期待もされているようではあるが「結局人を食う怪物であるアマゾンは(ならば、だから)殺すしかない」と示されてしまった後、どのような物語を紡いだところでそれは蛇足でしかないだろう。現実では人の死には残念ながら大して意味もないのだが(あるとすればそれは遺された者たちの問題である)、物語、創作物の中での死には何かしら意味が有るはずだ。一見無意味に見える死ですら、その物語は無意味に人が死ぬ世界であると視聴者に知らしめることで意味を持つ。はたして千翼は、ただそのためにのみ殺されたのだろうか。答えはまだ見えない。
前作について書いたものはこちら。