見出し画像

英雄の死と国の話

エリザベス女王の死去、というのは、やはり大きな事件といいますか、この感覚を思い出すのは、やはり本邦における昭和天皇の崩御の件を思い起こされますね。

自分にとって、昭和天皇の崩御というのは、小学生の頃の経験でしたものですから、リアルに「昭和の終わり」を感じたというより、あとになってから、歴史的な意味合いで捉えた、という感覚が近いです。
とはいうものの、自分の中での「昭和」という感覚も、昭和50年生まれの自分からすると、たかだか14年弱の歴史でしかなく、それも生まれてから14歳までの14年なので、昭和の時代を作って来た人たちが感じたであろう「昭和の終わり」というのは、自分にとっては、いささか、他人事のような感覚にも思います。

その点は、今のエリザベス女王の死去=一つの時代の終わり、という空気のほうが、自分としては実感できることだったりもします。

しかし、この話で背筋が寒くのなるのは、エリザベス女王の死去は、英国連邦(コモンウェルス)の終わりになるかもしれない、という話のことですね。

あんまり意識していないですけれど、たとえばオーストラリアは英連邦の一員で、独立した政府があるとはいえ、英王室を君主に抱く国だったりします。しかし、そういった体制も、エリザベス女王という君主がいたから、成り立っていたのでは?というお話。

新王となったチャールズ3世がアカン人とまでは言いませんが、それでも、皇太子時代のダイアナ元妃や、カミラ王妃の件など「支持のしづらさ」みたいなものは感じます。
それでいて、英連邦に限らず、連合王国、たとえばスコットランドやアイルランドなども、独立を問う選挙なんてのが行われるところを見ると、冗談抜きで、エリザベス女王は英連邦・連合王国の最後の王になる、という可能性もあるんじゃないかという思いが、頭の中をよぎったりするんですよね。

歴史の小説や物語の世界では、一人の偉大な君主の死が、その国や組織の崩壊につながる例というのは、よく見かけます。日本の戦国時代の、武田・上杉・織田信長しかり、豊臣秀吉しかり。私の好きな中国史は、国土の大きさやダイナミックさも桁違いで、一人の君主の死で一国の命運が決まる、というのは、秦の始皇帝など見かけたりもします。

そういう意味で、興味が尽きないといいますか、良くも悪くも、英国はこれからどうなるんだろうか?と感じたりもします。日本は昭和天皇が崩御したからといって、国体が分裂することはありませんでしたが(今後は知らないけど)英国に取っては、結構シャレにならない事態になっているのかも、と思ったりもします。
こう言ったらなんですけれども、一人の偉大な君主の死が、その国の命運を左右する(かも知れない)、なんていう大事件は、そうそうお目にかかれるものではないですよ。

いいなと思ったら応援しよう!