幸せにつながるのは、「過去の履歴」よりも「これからなりたい姿」
前回、ちきりんさんとけんすうさんが共に「過去に何をしてきたかより、これからどうなりたいかが大事」と言っている!と興奮した話を書いたのですが、もう一つ似たようなことを言っていると感じたことがありました。
ヤニス・バルファキス著『父が娘に語る経済の話。』という本に出てくる〝HALPEVAM〟の話です。
HALPEVAMとは「発見的アルゴリズムによる喜びと経験価値最大化装置」で、その人の脳波を読み取って何が好きか嫌いか、何を悲しんで喜ぶかを完璧に理解し、その人の基準で最高の人生を仮想現実にしてくれるそうです。
だとしたら、それを使えば誰もがより幸福で満ち足りた人生を送れるはず、ですが、その世界は本当に天国なのか? 本物の幸せがあるのか? と著者は問います。
もちろんそんな世界はつまらない、と多くの人は感じるでしょう。
ではその世界のどこが間違っているのか?
HALPEVAMが与えてくれるのは、「われわれがいまの時点で望んでいるものだけ」だからだと著者は言います。
本物の幸せとは、今の時点の望みがすべてかなえられることではない。外の世界と衝突し、葛藤することで変化し、成長していくことだからだと。
これはやはり、ちきりんさんやけんすうさんの言ってることと同じでは!?
大事なのは「過去に何をしたか」よりも、「これからどうなりたいか」。
人は「過去の履歴」から最適な答えを出されるだけでは面白くないし、満たされない。変わらざるをえなかったり、変わりたいという思いが強くなったときは、これまでしてきたこと、見てきたものとは違う何かが欲しいし、必要になる。
そうやって変化したり成長することに、人は喜びや幸せを感じるのだろうと思います。
今や本でも、服でも、読む記事でも、職探しでも、これまでの傾向からどんんどん自分に合った「オススメ」が出てきてしまう。
便利ではあるけれど、たまには思わぬ「衝突」やただの「気まぐれ」に左右されてもいい。現状への不満や葛藤から、思わぬ方向へ思考や感情が流されてもいい。むしろそういうこともあったほうがいいのだなと感じました。