【感想】『スピリチュアルズ 「わたし」の謎』を読んで、「自分と他人との差異」について考えました。
本記事は「note×幻冬舎」の合同企画「#読書の秋2021」の課題図書『スピリチュアルズ 「わたし」の謎』(橘玲著)の読書感想文です。過去に趣味で撮影した写真を交えて読書感想文を書いてみました。本企画の詳細は下記に記載されています。
--------------------------------------------------------------------------------------
私が大学生だった頃、就職活動の一環として「適職診断」を受けたことがある。膨大な質問に回答すると、現在の自分自身の特性が診断され、診断結果から類推される適職の候補を得ることができた。適職診断結果を友人達と比較すると、各自で結果が異なっており、面白さと共に不思議さを感じた。当時の私は、何かしらの理論や傾向分析から導出された結果だろうと推測はしたが、突き詰めて調べることもなく、「世の中には便利な診断もあるんだなぁ」という程度の認識であった。そんな私にとって、本書は自分のパーソナリティを再考する機会を与えてくれた。
本書のカバーには人間を模したイラストにキラキラと輝く模様が描かれており、本の帯には「スピリチュアル=無意識+魂」という見慣れない数式が書かれていた。シンプルであるが訴えかけるような雰囲気を感じたので読んでみることにした。最新の脳科学や心理学などで得られた知見を反映させた本書を読むことで、「成功の機会を最大化するためには、自分自身の特性を適切に把握して、本領を発揮できる環境下で自己研鑽していくことの大切さ」を学んだ。また、本書が提案する8つの要素((1)外向的/内向的, (2)楽観的/悲観的, (3)同調性, (4)共感力, (5)堅実性, (6)経験への開放性, (7)知能, (8)外見)を活用していくことで、「自分と他人との差異」を効率的に認識できると思った。「人生という物語の主人公は自分自身なので、適材適所で活躍してほしい」というような著者からのメッセージを受け取ったように感じた。
本書から、人間の脳には無意識の領域があり、この無意識の傾向の違いが「自分と他人との差異」を生み出していると知ることができた。また、本書ではパーソナル心理学の「ビッグファイブ」を8つの要素に拡張している。「わたしとは何か?」を解明するために、過去から現在までの様々な取り組みを俯瞰的に知ることができたことに加えて、この問題に挑む著者の情熱を感じることができた。本書を読み進めながら、自分自身のパーソナリティや自分の周囲の人達のパーソナリティを再考していくのはおもしろかった。漠然と認識していた「自分と他人との差異」を8つの要素を軸にして整理していくことで、「自分と他人との差異」を体系的に認識することができた。
また、本書ではパーソナリティに関して遺伝の影響も無視できないとしていた。外的要因に対する脳の感度の差異がパーソナリティに影響を与えるというのは興味深く感じた。白紙状態から自分自身が育つわけではなく、初期値としてある程度の特性を備えていると考えると、自分自身の特性を発展させていく方向が重要であると改めて思った。生物として個体差があることは自然なことであると思うので、この個体差を楽しむくらいの心の余裕をもちたいと思った。
SNS利用時のアクションに応じて、自分のスピリチュアル(=無意識+魂)が特定され、マーケティングなどに利用されているというのも興味深かった。自分が何かのサービスを提供する側であれば、顧客のスピリチュアルに基づきサービス提供戦略を練れるので役立ちそうだと思った。一方で、自分が何かのサービスを受ける側であれば、自分自身が知らない間に情報操作に巻き込まれているかもしれないという一種の怖さを感じた。個人のスピリチュアルに合わせたサービス提供というのは、今後はますます社会実装が進んでいく分野だと思うので、注目していきたいと思った。また、あえて自分のスピリチュアルとは正反対の物事に取り組んでみることも面白いのではないかと思った。例えば、自分のスピリチュアルに合った書籍は快適に面白く読むことができると思うが、自分のスピリチュアルと正反対の書籍はおそらくはじめは理解が難しいと思う。しかし、"あえて"自分のスピリチュアルと正反対の書籍を読むことで新しい自分を発見することにつながるのではないかと思った。
本書を通して、「自分と他人との差異」を考える際に、8つの要素を軸にして理解していくという方策を得ることができました。著者である橘玲先生、そして本書を生み出して頂いた編集者の方々に感謝致します。ありがとうございました。