【感想】『体験の哲学 地上最強の人生に役立つ哲学活用法』を読んで、知識と体験を結びつけることの大切さを学びました。
本記事は「note×ポプラ社一般書通信」の合同企画「#読書の秋2021」の課題図書『体験の哲学 地上最強の人生に役立つ哲学活用法』(飲茶【著】)の読書感想文です。過去に趣味で撮影した写真を交えて読書感想文を書いてみました。本企画の詳細は下記に記載されています。
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「漠然と生きていた昨日までの自分にごめんなさい」というのが読書後の素直な感想である。<個人があって経験があるのではなく、経験があって個人がある>という西田幾多郎氏(哲学者)の<純粋経験>の説明を読んで、体験を無心で味わうことの重要さを知ることができた。それと同時にルーチン化した日々から抜け出さなければならないという思いに駆られた。パターン化した行動は脳にとって負担は少ないが、成長するために新しい刺激や経験を意識して自分自身に与えていかなければならないと思い至った。
最初に本書を手に取ってパラパラとめくり、第四章の39ページにも及ぶ「体験のチェックリスト」を見つけた時は衝撃的であった。本書を読む前は、「体験のチェックリスト」に体験済みの物事を単純にチェックしていけば良いと思っていたが、そういう利用方法ではないと著者からしっかりと指摘されてしまった(p.143)。もっと全身全霊で体験に挑む覚悟が必要であると著者から叱咤激励をうけた気持ちになった。
「体験を意識して味わって生きよ」-飲茶(著者)
第三章の最後に記載された著者の上記の言葉がジーンと心に響いた。「既知の世界」の中で生きている自分は「自分の無知を自覚できない」という説明にはとても納得した(図D、p.76)。知らないものは存在しないのと同じである。だからこそ、自分以外が作成したチェックリストは新しい世界を切り開くための宝の地図になるのだと思った。
そして、著者は何が何でも全てを体験しなさいと言っていない点にも好感をもつことができた。あえて「体験しない」という選択肢を選ぶことの大切さも述べていた。俯瞰的な視点から選択肢が見えていることが必要条件であるが、「体験しない」という選択肢があるということは私の心を軽くしてくれた。皆が体験していることを、あえて「体験しない」のは一種の個性になるというのはとてもおもしろい発想だと思った。
一方で「体験する」という選択肢を選ぶ場合は、体験前にできるだけ予備知識を獲得して、知識が体験と結びつき、本当の意味で”理解”できるようになることをまずはお薦めしていた。ただ漠然と体験してしまうのではもったいないとのことであった。先入観(事前知識)を持って体験に挑むことの弊害もあるとのことであったが、「歴史」の重みなどを考慮して体験することに挑んだことがない私にとっては、事前に準備しておく方が厳かな気持ちになれるため合っていると思った。
さらに、「本書を読んで感銘を受けたとしても人間はあっさりと忘れる」という著者の指摘には、思わず笑ってしまった(p.134)。著者は読者のことをお見通しのようで頭が下がる思いであった。だからこそ、著者は「コンプリート意欲」を掻き立てるチェックリストの重要性を説いていた。色々と思い当たるふしがある私はとても納得した。本書のよく考え抜かれた構成に驚くばかりである。
では、本書を読み終えた私は何の体験から始めようか。とりあえず晩御飯に普段はあまり食べない「納豆」を食べてみることにした。納豆に関連する話題を色々とネットで検索すると、「納豆を400回くらい混ぜると旨みが増す」という情報を見つけた。いままで400回も「納豆」をかき混ぜたことがなかったので、挑戦してみることにした。これが結構きつかった。100回くらいまで「納豆」を掻き混ぜるのは比較的楽しかったが、それ以降は無心の状態であった。400回程度掻き混ぜた「納豆」を食べてみると、愛着も増したことから、不思議と美味しく感じた。また一つ実体験が増えて嬉しくなるとともに、これからも少しずつ体験を増やしてみようと思った。
最後に「漠然と生きるな」と喝を入れて頂いた著者の飲茶先生に感謝するとともに、本書を生み出して頂いた編集者の方々に感謝致します。素敵な読書体験をありがとうございました。「看脚下」を意識していきたいと思います。
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