011.出そうで出ないゲップのようなもの
伊野さんのオバちゃんのおむすび
御幼少の頃(笑)僕は近所の家に預けられ育った。
母は結婚前から仕事をしており、僕を産んでもその仕事を辞めることをしなかった。
生後一ヶ月で僕は近所の家に預けられていた。
生後一ヶ月から、小学校2年まで、日中は伊野さんのオバちゃんの家にいた。
大家族のおっきなお兄ちゃんが3人いたお家だった。
伊野さんのおじちゃんは柔道を教えていて、僕も小さい頃から柔道を教えてもらってた。
お兄ちゃん達が聴いている洋楽なんかも、幼稚園の頃から聴いていた。
僕を育ててくれた伊野さんのオバちゃんはとっても優しくて、怒られた事なんて一度もなかった。
病弱だった僕をよく病院へ連れて行ってくれた。
ジュンちゃんのお陰で横須賀中の病院へ行くことができたわ。と笑いながら話していた事があった。
その伊野さんのオバちゃんが作るおむすびが大好きだった。
大きなおむすびを海苔一枚にお醤油を浸してそれでクルリと巻いてしまう。
暫くするとそのお醤油が白いご飯に染みていき、なんとも言えない味を出すのであった。
冷めても本当に美味しいおむすびだった。
幼稚園の運動会に伊野さんのオバちゃんのおむすびをお願いしたくらいだ。(オカン、ごめん。)
大きくなって自分で何度か挑戦したけど、あの味が出せない、、、
あれはきっと伊野さんのオバちゃんの手に染み付いた隠し味が付いていたのだと思う。
いや、絶対そうだ!!
伊野さんのオバちゃん、あの時のおむすびほんとうにほんとうに美味しかったよ。
いつもありがとね。
伊野さんのオバちゃん、もう少ししたら違う世界でまた会おうね。
そのときまたあのおむすび握ってね。
約束だよ。
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