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<大人編30代>60歳の私が、少女だった頃の彼とのその後~時代は平成へ

私に起こったトラブル

結婚生活が、10年を過ぎた頃、私は、大きな試練を経験する。夫が、金銭トラブルに巻き込まれたのだ。

ある日突然、弁護士を名乗る男性から電話があった。「私の名前をご主人から聞いていませんか?」と言われた。いったい何のこと?と思った。そういえば数日前から、何かおかしかった。

友人が紹介してくれた弁護士の先生のお陰や、周りからの援助もあり、車も家も手放したけれど、生活はどうにかなった。心機一転のような雰囲気だった。でも、私には、「払拭しきれないシコリ」のよなものが残った。

ことが起こる数日前に、電話をしてきた弁護士を名乗る男性の「私の名前をご主人から聞いていませんか」という言葉は、自分の「妻という立場」に対して、懐疑心を生んだ。

そして、この出来事を通じて人生は、そんなに簡単ではないと、今まで感じたことがない「重さ」を自分の人生に対して感じたのだ。

「人生の再構築」と彼との電話

生活は、何事もなかったように新しくなったけれど、このまま「シコリ」を抱えていたら、自分は幸せにはなれないと確信した。体調も優れず、体中にじんま疹が出た。

自分が選んだ人生は、間違っていたのだろうか。結婚した「二十歳の時」まで人生を巻き戻して、もう一度、自分の人生を見つめ直さずにはいられなかった。

10年以上の結婚生活の中で、私は、完全に自分を見失っていた。

私は、ここで、数年ぶりに彼に連絡をした。自分は、どんな人間だったのか、彼に聞きたくなったのだ。

電話口で彼は、私を少し馬鹿にするように言った。

「今の船に乗っていたら、ヤダヤダと言ってても、自分の行きたくない方向に行っちゃうんだよ。その船から降りなければ、行きたい方向には行かないんだよ。ボランティアでもなんでも、とにかくやったらイイんだよ!」

私は、彼の言葉で、動き出した。後に、私は、ある国際NGOの日本関連団体の事務局を10年近く担うことになったのだ。

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彼のライブを観に行く

私は、子育ての傍ら、「自分を取り戻す作業」に没頭する日々だった。それは、1~2年続いた。

この頃、彼の音楽活動は、完全に彼の仕事になっていた。そして、自分が出るライブがあるから来ないかと声を掛けてくれた。ところが初めて誘ってくれたライブに、私は行かなかった。何故なら、まだ末娘が幼く、置いていくわけにもいかず、夜遅くまで連れまわすこともでいなかったからだ。しかし後日、私が行かなかったことを知って、彼は、なぜか憤慨した。

「小さい子どもがいるのだから、しょうがないでしょ!」と思ったけれど、私の事情は、彼には分からなかっただろうし、会場に来て、自分が音楽をやっている姿を観て欲しかったのだろう。これまで、ちゃんと彼の音楽を聴く機会はなかった訳だから、どうにかしても行くべきだったのかもしれない。

彼のお母さんとの再会

次回は、何としても行かねばという気持ちでいた。その後も、彼は、ライブがあると声を掛けてくれた。

初めて彼がプロとして出ているライブに行った時、彼のお母さんと、久しぶりにお会いした。人がいっぱいいる会場で、彼とはちょっと会っただけだったけれど、彼のお母さんは、私が声を掛けると懐かしそうに喜んでくれた。高校時代以来の再会だった。

後日、私は電話で、彼のお母さんと話しをした。

私が結婚する時に「幸せになってください」と言ってくれたあの電話以来の電話だった。

この時、彼のお母さんは、息子の音楽活動を親として、出来る限り応援しようと思ったことや、彼の選んだ道を私が、受け入れなかったことについて、息子自身から聞いた時の話をしてくれた。

彼が「お母さんが大好きな息子」であることは、知っていたけれど、きっとオープンな親子関係で、いろんな話をしていたんだろうな~と思った。彼と私の関係性は、二人だけではなく、周りも巻き込んでいたのだ、と初めて気づいた。

彼への手紙

高校生の時、私は、彼に手紙を何度か書いた。彼も私に手紙をくれた。あの頃の彼から届いた手紙には、「付き合っていくための心得」のような内容や、友達と地下鉄でキセル乗車をして、見つかって、駅員に追いかけられたエピソードがユーモアいっぱいに書かれている内容のものとかがあった。

手紙が電話以外の一番の連絡ツールだった時代なので、手紙のやり取りは普通のことだった。

30代、私は、彼に再び手紙を書いている。記憶は全く無いけれど、日記にそう書いてあった。いったい何を書いたのだろう。

手紙を受け取った彼は、後日、私に電話をくれている。それも記憶には全くないことだけれど、日記にそう書いてあった。

さらに、衝撃的なことに、当時、封がしたままの投函しなかった二通目の手紙が、日記のノートにそのまま挟んであった!びっくりした。高校時代、よく夜中、彼宛に書いても、投函しなかった手紙が何通かあったけれど、30代も出さなかった手紙があったのだ。

「どうしよう~」と思ったけれど、そのままにしてある。

25年以上前の手紙、何が書いてあるのか、ちょっと怖くて開けれない~。果たして、開封する日は来るのだろうか…

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いつもお読み頂き、ありがとうございます。 

**30代は、これで終わりです。40代に、つづきます~


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