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「刺繍展」を目前に、バタバタしながら、私がやった事

これまで「母の刺繍展」をやってきて、いつも思っていたことがある。

それは、来場してくださった方からの「刺しゅうをやりたいけど、どうしたらイイかわからない」という声を聞いた時、「私は、その先に繋げることが出来ないな~」という事だ。

東京・京橋にある手芸店の老舗「越前屋」で、母が「雄鶏時代」からの刺繍仲間である新田恵津子さんが、長年「フェリエ」という「欧風刺しゅう教室」を続けてきていた。

例えば、新田さんの「刺しゅう教室」に繋げられれば・・とかも考えた。

しかし、昨年の夏にその「教室」を閉じてしまった。
元々,凄いエネルギッシュな方だけれど、御年80歳になられ、体力的に厳しくなったとのことだった。


母繋がりで、「刺しゅう教室」をやっている可能性がある方が、私の中にもう一人いた。

「刺繍展」を前に、その方の「刺しゅう教室」に繋げられたら~と思った。


その方は、「ハンガリー友好協会」の「刺しゅう教室」で、(故)小柳太美子さんの後を引き継いで、「ハンガリー刺しゅう教室」をやっているはずだ。

(※小柳太美子さんは、母と「雄鶏刺しゅうアカデミー」の同期の方)


私は、その方に電話をしてみた。

すると、現在は、ご本人も含め、皆さん高齢なため、「教える」というよりも、地域の活動として、楽しみながら刺繍をやっているという事だった。

そして、その方に、小柳さんの「ハンガリー刺しゅう教室」で、母と一緒に作品を作ってきた久松洋子さんの近況が知りたくて

「久松さんとは、連絡を取っていらっしゃいますか~?」と伺ったところ、

昨年の秋に、亡くなったという事が分かった。

久松洋子さんと「連絡」を取りたかった訳


母が所持している「ハンガリー刺しゅう図案」は、95%以上が小柳太美子さんが描かれた図案だ。

小柳さんが、ハンガリー刺しゅうの「図案集」を出そうとしていたことも、母から聞いていた。

前回の「母の刺繍展」で、図案の「有料頒布」を始めてから、小柳さんのご家族と連絡が取れないものかと、思案していた。


一言、ご家族に、私がやっている事を伝えたかった。

母の話だと、小柳さんが亡くなって、久松さんは、小柳さんの「刺繍関係の遺品」の一部を譲ってもらえるように、ご家族に連絡を取っていたという。だから、久松さんなら、小柳さんの「ご家族の連絡先」をご存じかもしれないと思ったからだ。

しかし、既に久松洋子さんは、亡くなっていた。


久松さんの息子さんの話


母の携帯電話にあった「久松さんの電話番号」に、私は電話をしてみた。

すると息子さんと繋がった。

彼の話によると、お母様(久松洋子さん)が、亡くなられたのは、突然だった。確かに、ついこの前まで、母とも「電話」や「ハガキ」で連絡を取り合っていた感じがする。

年齢は、私の母よりも一回り近くお若いはずだ。

息子さんも、「まさか亡くなると思わなかった」と話した。


葬儀を済ませた後、連絡が取れた「刺しゅう関係の方たち」が、自宅にお参りにいらした時、遺品として、その方たちに分けてしまって、あまり作品は残っていないとのことだった。

余談ですが∼
この時、即席の「あみだくじ」を作って、順番を決めて、それぞれの方が好きなものを持って行ったと、話してくれました。


そろそろ、「母のモノは、捨てようと思っていいました。」と、息子さんは電話で話された。

私は、最後に残っているモノを受け取るために、久松さんのご自宅まで伺う事にした。



久松洋子さんの最後の、最後に残っていたモノは~


実際に伺ってみて、作品は、確かに殆どなかった。

それでも「テーブルセンター」と「クッション」(猫の毛が付いているかも~と息子さんが言っていた)は、頂いた。

後は、「写真」と「図案」をまとめた「ファイル」だった。

軽い物は、その日、私は、自分で持ち帰ったが、重いものは、後日、送ってもらう事にした。

私は、この日、持ち帰った久松さんの「図案ファイル」をじっくり見てみた。

母の所持している図案は、袋にグチャグチャになっていたけれど、久松さんは、しっかりファイリングしてあった。

それを見ると、小柳さんが、ご自身の図案を「通し番号」を付けて、どのように管理されていたかがわかる。

(※久松さんが所持している「図案」も、ほぼ小柳さんの手描きの図案。母が持っている図案と同じモノも含まれていました。)


久松さんのファイルを見ていると、母から聞いた「小柳さんは、ハンガリー刺しゅうの『図案集』出そうとしていた」という言葉が、とてもリアルな事として「説得力」を持つのだ。


刺しゅう作品の「裏側」には、隠れて見えない「工程」がある。

一つの「作品を完成」させるために、「見えない工程」を惜しむことなく努力し、習得してきた人達が、こうやって、いなくなってしまう事は、残念と言わざるを得ない。

「第3回 母の刺繍展」を目前にし、私はその「図案」を頒布するために、整理している。


時間もないので、全部は当然できないけれど・・・

とにかく、バタバタしています~







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