高校編3 60歳の私が、少女だった頃、彼から言われて、ショックだった言葉
どんなタイミングだったのだろう。彼が、唐突に言った。
「自分には、お母さん、お父さん、お兄ちゃんという家族がいて、この家族が一番で、君は、二番目だよ。」
高校生の彼からそう言われたことがある。当たり前すぎるこの言葉に、私は、どうしてショックを受けたのだろう。
この頃、私にとって彼と関係性は、異次元のことだったのだ。
当時、私には、学校の友達もいたし、いじめがあったわけでもない。周りからみたら、楽しい学校生活を送っていたと思う。
だけど実際は、毎日の学校生活に、意味を見出せず、苦しんでいた。
そんな日々の中で、自分が生きているのか、死んでいるのか、わからなくなるぐらい苦しかった。だから、彼との関係性は、私にとって、唯一、自分の「本性」を確認させてくれるものだった。
彼の存在は、私にとって、現実的な生活の中ではなく、全く別な次元にあった。これが、当時の私の真意だった。
だから彼が、「家族」という現実的な存在と私を並べ、順列を付けたことに、私は、傷ついたのだった。
私の心にグサッと、その言葉が刺さったことは、彼には、全くわからなかったと思う。私は彼に、何も言わなかったし。
たいていの場合、人は、何かショックなことを言われた時に、そんなに簡単に、言い返せない。ましてや、少女だった私は。60歳になった今の自分が、思い出しながら、客観的にこの時のことを分析してるから、言葉にできるのであって、当時の私は、ここまで彼の存在を認識しながら付き合っていたとは思わない。「楽しいから一緒にいる」という、もっと単純な、考えだったと思う。
日々の何気ない出来事を通して、彼との関係性は、少しずつ変化していったのだった。
今回は、ここまで。
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