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【ブックレビュー】校長の力

最近、元麹町中学校の校長であり、現在は横浜総英中学・高等学校の校長を務める工藤勇一氏の最新作を読む機会がありました。

この本を手に取ったのは、私自身がここ数年間、工藤氏について複雑な感情を抱いていたからです。

工藤氏が退職した後、麹町中学校がかつての管理主義的体制へと戻りつつあるとの報道を見たことが、私の不安の一因でした。

この不安の根拠を探りたいと思い、この本を読んでみました。

スーパー校長の不在は、果たして組織にとって後退を意味するのでしょうか?

この疑問に対する答えを、工藤氏の書籍から見出すことができました。

工藤氏は、自らが心配している麹町中学校の現状や、スーパーティーチャーの存在に対する否定的な見解を率直に語っています。

また、固定担任制がもたらす負のジレンマについても指摘しています。

これを読み、私は自分が担任業務に対して抱えていた苦手意識が、実は次のような深い理由に基づいていたことを理解しました。

新年度が始まると、わくわくする反面、教員にはちょっとしたプレッシャーも伴います。

生徒たちが「いい先生かな?」「うーん、ちょっと…」と考えるこの時期、教員の肩には見えない重さが乗っているのです。

クラス同士が競い合う中で、勝利を手にしたクラスの生徒はうれしさでいっぱいになるけれど、それ以外のクラスの生徒たちからは、「あの人がいなければ…」や「先生がもっと…」なんて声がちらほら。

このような状況が教員の心にも少なからず影響を与えてしまうのです。

実は、私は固定担任制というシステムにかなり疲れを感じています。

一緒にクラスを担当する「チーム担任制」が実現できればどれほど気持ちが楽になることか。

これって、教員も生徒も、そして保護者の方々にとっても、新しい風を吹き込むかもしれません。

でも、変わろうとするって、意外と勇気がいるものです。

教員が生徒たちに「自分で考えて、自分で行動しよう」と教えるためには、まず自分たちがその姿を見せる必要があります。

簡単なことではありませんが、教育に関するいい本に出会うと、日本の教育がもっと素晴らしいものになる希望や、学校が子どもたちにとって本当に安心できる場所になる可能性を感じることができます。

ここで大切なのは、校長の役割です。

校長が新しい考え方を受け入れて実践することで、学校の雰囲気はグンと変わります。

変化は上から始まりますから、校長が変われば、学校が変わり、そして、学校が変われば、子どもたちの未来も変わるんです。

教員である私たちに、教育を通じてより良い変化を生み出す責任があるんですね。

一人一人の子どもたちが自分の価値を感じ、素敵な教育体験をできるような環境を整えること、それが私たちの大切な使命です。

改革の道は簡単ではありませんが、校長、私たちみんなが協力し合えば、希望に満ちた明るい未来を作り出すことができるはずです。

この本はそのような希望を持たせてくれた良書でした。


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