5/10 eSports市場@中国スタートアップ

追い風受けるeスポーツ、その概況は 2019年3月14日

(1)eスポーツ業界の推進要因

・この4年間のうちに相次いでeスポーツ大会が誕生。その大部分を占めたのが、当事者であるゲームメーカーが主催する大会。
・コンピューターゲームの寿命は短くて1年、長くても3~5年と比較的短い
・ここ数年でコンピューターゲームの主流は家庭用ゲームからオンラインゲームへと移り、収益モデルも単発型から継続型へと変化した
・ゲームの寿命を延ばし、より多くの継続的収益を生むことを目的として、ゲームメーカーはeスポーツ大会への取り組みを徐々に強化し、関連するゲームへの注目を高めようとしている

(2)eスポーツ業界の市場規模(オランダの調査会社調査)

・eスポーツ業界の昨年の世界売上高を9億600万ドル(約1000億円)と試算。
・2021年には16億5000万ドル(約1830億円)に達し、年平均成長率(CAGR)は27.4%になる
・毎月少なくとも1回はeスポーツ大会を観戦する人の数が昨年は世界で1億6500万人だったとし、2021年には2億5000万人まで増えると予想
・eスポーツ市場の収益構造について、スポンサー収入が全体の40%を占め、版権収入は18%に留まると分析
・中国のeスポーツ市場規模は世界全体の1/3を占めた。今後も世界最大のeスポーツ市場であり続けると予想される

中国の2019年のeスポーツ市場規模予想

・中国の2019年のeスポーツ市場規模22億元(約350億円)
・スポンサー収入は8億8000万元(約140億円)
・広告収入は4億2000万元(約67億円)
・版権収入は4億元(約64億円)
・大会運営収入は3~4億元(約48~64億円)

eスポーツ市場発展の課題

・娯楽用のインターネット利用においてソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)や動画などと競合しており、これらのツールが急速に発展する中で、ゲームに費やされる時間も制限を受ける
・技術や業界構造の変革が起こらない限り、eスポーツ業界の市場規模の伸びは比較的穏やかな状態を維持することになる

eスポーツの市場規模は2022年までに約30億ドルになる見込み、ゴールドマンサックスの報告書が公開 2018/7

・2017年時点では6.6億ドルに留まっていたeスポーツの市場規模(年間売上総額)は、2022年までに29.6億ドルに達すると予想
・2018年現在の総オンライン人口は全世界で約30億人おり、そのうちの約22億人がゲームをプレイしている

現在eスポーツ市場における売上:
・14%がメディア権利
・38%がスポンサーシップ関連
スポンサーシップによる売り上げは引き続き伸びるとしているものの、今後はメディア権利による売上が大幅に成長すると予想

(3)eスポーツ業界の市場シェア

大会運営収入:
ゲームメーカーが委託した大会運営者に支払う報酬のことである。大会運営者はスポンサー収入と版権収入の20~30%を歩合として受け取ることができる。

スポンサー収入:
企業がeスポーツ大会に支払うスポンサー料のことである。2018年はスポンサー収入がeスポーツの世界市場全体の40%以上を占め、最も重要な収入源となった
2018年の主要大会のスポンサー:
・上海浦東発展銀行
・マクドナルド
・スマホメーカーの「vivo」
・チョコレートの「M&Ms」
・上海フォルクスワーゲン(上汽大衆)
・エナジードリンクの「戦馬(War Horse)」など
若者の消費行動と密接に関わるブランド

広告収入:
eスポーツの生中継やeスポーツメディアでの広告掲載などによる収入のことで、主にメディア側がコントロールしている。

大会運営とコンテンツ制作:
収入の大部分は川上のゲームメーカーに帰属する。理由はeスポーツ大会のよりどころはゲームそのものであるため、ゲームに関連して発生した収益を分配する権利はゲームメーカーにあるためだ。
上述のeスポーツ市場の収入構造をみる限り、ゲームメーカーの取り分は少なくとも全体の50%に上る。

(4)eスポーツに関する起業のチャンス

eスポーツに関する起業のチャンスは、ゲームメーカーがしばらくは直接手がけられない分野で増えると予想
・SNS関連ツール
・オンライン大会関連ツール
・AIを活用したマーケティング

将来的にeスポーツ業界で起業するチャンスがあるのは、
⑴技術で業界構造に変革をもたらす企業
⑵SNSまたはコンテンツで個人消費者を取り込む企業

(5)eスポーツ業界発展のトレンド

・現時点でeスポーツの市場規模は世界全体でも10億ドル(約1100億円)と小さく、ユニコーン企業は生まれるべくもない
・今後中国で人口構造や生産方式が変化すれば、eスポーツ業界に新たな発展のチャンスがもたらされるだろう。
・仮想現実(VR)技術やエッジコンピューティングの発展、AIやマーケティングツールなど新たなビジネスモデルもチャンスを生む要因になる

2018年日本eスポーツ市場規模は48.3億円と推定 ~Gzブレイン発表~

・2018年の日本eスポーツ市場規模は、前年比13倍の48.3億円となった
・2019年から2022年までの年間平均成長率は19.1%と予測
・2018年時点での日本eスポーツ市場の収益項目別割合をみると、チームや大会へのスポンサー料や広告費といった「スポンサー」の割合が多く、全体の75.9%を占めている
・日本eスポーツファン数(試合観戦・動画視聴経験者)は前年比66%増の383万人
・日本にはゲーム関連動画の視聴者が約2,500万人いると推計しており、そのうち15%がeスポーツファンと算出


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