土のお手当とヨガ〜大地の再生vol.2〜
「土に、いいも悪いもありません」
これは自然環境の根本的な再生のために活動されている、NPO法人地球守代表の高田さんの言葉です。
先月、大福院さんでの大地の再生ワークショップに参加しました。
風の草刈りをし、水はけが悪くてぬかるんだ、ずっと放置されたままの畑に水脈をとおしていきました。
水も空気も滞ってしまって動かない場所はとくにぬかるみ、グライ層(酸欠状態の土)と呼ばれる土(有機ガスが発生している)になっていました。色もにおいも少しぎょっとしてしまう、そんな状態の土。
「風と風景をつないでいきます」
先生がお手本を見せてくれて、みんなで水脈を通していきます。
静かな畑に風がうまれ、「ちょろちょろ」と水の音が響きました。
今回、一番むずかしかったのは「やりすぎない」というところ。わたしはいつも、なんとか風をとおそう、水をとおそうと、頭でっかちになってしまい、やりすぎてしまいます。一歩引いて、ちょうどいい塩梅(あんばい)のところで自然にまかせる。これはまだまだ難しくて、すごく奥が深いなと感じます。
そしてヨガもおんなじです。
調子がわるいところは、かたくなり流れが滞っています。内臓も、筋肉も、心も、頭も、みんなおんなじ。
そこに流れをつないでいきます。
大地の再生と同じで、思考や意志だけで動かそうとするとやりすぎてしまい、かえって呼吸も止まり、体をいためてしまいます。
また、硬いところをほぐす、というよりは、その周りの比較的動くところを動かしていきます。そうすると、滞っているところも流れが自然と生まれます。大地の再生と全く同じです!笑
大地の再生を勉強するようになってから、ヨガの時間は「体という大地の再生」という視点でもみるようになりました。流れがめぐり、ふくふくしたお顔のみなさんをみるたびに、なんて素敵なお仕事だろうと感動することがあります。
そして、いいお教室になったなぁと感じるときは、全くつかれません。これもまた、大地の再生と同じです。心は晴れやかに、ますます力がみなぎり、あたたかな想いがひろがっていきます。
「いい土も悪い土もありません」
ひともきっと、いいも悪いもないんだろうと想います。
ただ少し、流れが滞っているだけ。
体のなかの「グライ層」も、風がとおり流れが生まれれば、どんどん変わっていきます。そしてすこやかな大地(体)は、たくさんのいのちを惹きつけ、ますますこの世界を豊かに美しくするのでしょう。
そして、「土はつくれません」。
どんなに科学を駆使しても、土はつくることができません。これはオーガニックガーデンの勉強をしていたころ、学んだことのひとつ。土をつくるのは、植物、微生物、鉱物、太陽、風、そして水たちにしか担えない仕事なのです。
わたしたちできるのは、土を元気にする“お手伝い”だけ↓。
わたしは植木鉢で育てている植物をひとまわり大きな植木鉢に植え替えるとき、落ち葉をたっぷり敷き込み、できるなら竹炭も入れてふかふかにします。育苗するときもおんなじです。ポットの下に落ち葉をたっぷりしいて、竹炭もできたら入れて苗床を用意しています。
ぜひ、ためしてみてくださいね。
風はまだつめたいですが、おひさまの光がぐんぐんあたたかくなってきました。
畑ではもう裸足になれるくらい地温もあがり、植物たちも目覚め、ゆっくり動き始めています。
今年もにょっきり顔を出してくれたちいさな芽たちに心は踊り!、一気に体のなかをたのしくてあたたかな気持ちが巡っていきます。ヨガをしなくても、力強くて生き生きとした躍動感とわくわくする気持ちの流れを自分のなかに感じます。大地とのつながり、そして植物や虫たちとの季節ごとの邂逅(かいこう)は、ほんとうに何ものにも代えがたいよろこびです。
体という土壌は、四季折々の美しさに感動するたび、よろこびの風を奏で、年々ますます豊かになっていくのでしょうか。
【おまけ】
ある日の畑のかえりみち。
「めぇ〜」
かわいい声がきこえてきました。
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