【秋春制】野々村チェアマンのインタビュー記事
この年末年始にかけて、Sportsnaviで『なぜ、今なのか? Jリーグのシーズン移行を深掘り』という特集が組まれた。
飯尾篤史・竹内達也の両氏による全7回のコラム・インタビュー記事で構成され、様々な角度からこの問題を掘り下げようという試みだ。
1月24日付の最終回は、飯尾氏による野々村芳和チェアマンへの直撃インタビュー記事。
『シーズン移行、残された課題とは? 野々村芳和チェアマンを直撃「降雪地域を切り捨てる? むしろその逆」「100億円で終わりではない」』
多岐にわたる内容であるが、今回はワタシがいくつかの過去記事で呈した疑問点についてのアンサーや、新情報についての感想をダラダラと書いてみる。
春秋制への再見直しについて
ワタシが『【秋春制】記者に質問して欲しい3つの質問』という記事で投げかけた疑問、
●ACLが春秋制に戻されたら、Jリーグも再移行するのか?
●シーズン移行の効果・影響を、実施後も検証をするのか?
に対する答えが野々村チェアマンの口から語られている。
とりあえず、Jリーグがシーズン移行そのものを目的としているわけではなく、状況をみて元に戻す選択肢があると表明してくれたのは一安心。
シーズン移行で得られるメリットについても、専門家などにも話を聞いて「可能性が高い」と判断しているらしいが、100%ということはない。
様々な方面に負担をかける大きな改革だけに、検証・修正をキチンとして、情報も可能な限りオープンにして欲しいところだ。
JFL以下のクラブへの補助
インタビュー内では、JFLもシーズン移行する方向で調整に入っているという。
ワタシは『【秋春制】シーズン移行の尻拭いは誰がする?』という記事で、JFL以下のクラブが「Jリーグから冬季の支援を受けられるかどうかは不透明だ」と記した。それについては、
と、Jリーグ入りを目指すクラブに関してはサポートする方向を示している。
Jリーグが売り上げを伸ばせばという前提ではあるけれど、ひとり歩きしている数字の「100億円」にとどまらず、行政や企業のサポートをもとめながら投資を続けるとも言っている。
それ自体は力強い言葉だけど、裏を返せば、ソニー仙台などのJリーグ入りを目指していないクラブは対象外ということでもある。
「Jリーグが儲けたいがための改革で、J参入の意思がないクラブまでが負担を強いられる」という構造的な問題に、少なくともこのインタビューでは答えていない。
社業のある実業団チームにどう手を差し伸べるのか?
Jを目指すとさえ言えば際限なく補助できるのか?
選手の入退団に関わる部分以外のアマチュアカテゴリーに与える影響について、Jリーグの考えがあまり伝わってこない。
実業団チームであれば福利厚生の範囲内でシーズン移行に対応できるだけの投資ができるのか? 移行後のシーズンと社業との間で折り合いをつけられるのか?
プロ選手であればある程度を犠牲にしているであろう家庭人としての責任・役割も、サッカーを生業としてない方々にとって優先順位は高い。
競技シーズンの大幅な変更で、競技生活が続けられなくなる選手は少なくないのではないだろうか?
「開催期間は変わらない」が伝わらない
ワタシも『【秋春制】もう「雪・寒さ」では反対できない』で秋春制反対派への問題提起として触れた部分だ。建設的な議論をするには、せめてオフィシャルになっている最低限の情報は共有しよう、と。
ただ、反対派がなぜここまで固定観念に染まり、不信感を捨てられないのかということを、Jリーグ側もいま一度振り返ってほしい。
犬飼JFA会長時代以降、時に雪国クラブ切り捨てとも受け取られるような、強引なシーズン移行論議が繰り返されたことは筆頭に挙げられよう。
加えて、秋春制でスタートしたWEリーグで「ウインターブレイク短縮」という前例ができてしまったこと。
これによって「今は開催期間は変わらないと言うだろうが、シーズン移行後にほとぼりが冷めれば、しれっとウインターブレイク短縮に踏み切るのではないか」という疑念はより深くなった。
だったら、反対派・慎重派の抱く不安を取り除けばいい。
「移行後10年間はウインターブレイクを短縮しない」の一言のほうが、通り一遍のJリーグの主張を繰り返す以上に効果があるように思う。
半年でJ2降格とか、ヤダなぁ
シーズン移行期の2026年上半期0.5シーズンをどうするか、が喫緊の課題とチェアマンは語る。
ワタシはカップ戦でいいと思うけどなぁ。スケジュール的にも厳しいらしいし。
2025年、長く苦しい1年のリーグ戦で勝ち取った昇格という果実を、たった半年(北米W杯があるので実質3か月)で取り上げてしまう結果になってしまっては、あまりに酷すぎる。
横浜FCは今でこそエレベータークラブだけど、最初のJ1から二度目までは13年、長年にわたり昇格できない苦しみも十二分に味わっている。
だから初昇格、あるいは十数年ぶりの再昇格という悲願を成し遂げたクラブがそうなったときの落胆の大きさは想像に難くない。いや、想像以上かも。さらに直接対決で見送る立場になるのは辛い(もちろん、見送られる立場はもっと辛い)。
もちろん、残留争いをしている時間の長いクラブの立場であれば「降格しても半年で復帰できるチャンスが欲しい」と考えるかもしれない。いまJ3にいるのであれば、より切実だろう。
ただ、たった半年の付け焼刃の強化で上のカテゴリに再挑戦したところで、返り討ちになる可能性のほうが高いように思う。
それにタダでさえシーズン移行という大変革のためにリーグや各クラブが対応に追われる中で、昇降格という変数を増やすのは、運営側(特に事務方)の負担が激増するので得策とは思えない。
そこまでして、昇格を勝ち取ったクラブへのご褒美を半分以下に減らす必然性ってないんじゃないの?
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