「なんか面白いことやりましょうよ」に向き合う
この記事はProduct Manager Advent Calendar 2018の18日目のエントリです。前回は kan さんの「新卒プロダクトマネージャ(PdM)が考えた、 "ひよっこ PdM としての心構え"」でした。
こんにちは。SUZURI、SUZURI Peopleというインターネットサービスのマーケティングとプロダクトマネジメントをしている @jitsuzon です。タイトルの言葉、ある程度の規模があるサービスの担当者は聞いたことが、もしくは言ったことがあるのではないでしょうか。書いてる僕も勉強会の懇親会で言ったことがあります。だいたい7回はあります。
この言葉はえてして実現しません。「今度ご飯行きましょうよ」くらい実現しません。
もちろん結実をしたものはたくさんあるでしょうが、その裏で腐り果てた多くの種子たちがいます。このエントリは彼らと、これから虚空を漂うであろう無数の「なんか面白いことやりましょうよ」に捧げます。
【目次】
1.なぜ「なんか面白いことやりましょうよ」が生まれるか
2.愛想笑いをやめて考える
3.有意義にするための3つのポイント
僕が最近やった他社との協業案件を参考にしつつ、このケースではこんな感じにしました。というのを書いていきます。現役PMや企画系の人の参考になれば嬉しいです。
1.なぜ「なんか面白いことやりましょうよ」が生まれるか
ネタがほしいのです。自分の愛するサービスが成長するネタがほしい。種は蒔いて置いて損はありません。実際良い結果を生む可能性もありますから、導入の1つにするのはとても良いことだと思います。もちろん最初から本気でグイグイ進むこともあります。社交辞令マンもそれなりにいます。
僕が企画から関わった「SUZURIのイベントキット」は、社内から「一緒にやるのよさそう」という勧めと協業させていただいたカウンターワークスさんから熱量が高いお話がもらえたことから始まりました。最初は「なんかおもろ」系かと怯えたのですが、蓋を開けて中を見るほどマジのやつだとわかりました。よかったですね。
(イベントキットはクリエイターのイベントの場所代を無料にするやつ)
2.愛想笑いをやめて考える
「そうっすね〜できたらいいっすね〜」と愛想笑いをしてやり過ごそうとする夜。無の会話で終わらせるのはもったいない。個人的には、こういうチャンスの波に乗って成功に導ける人は尊敬するし、企画やPM仕事の醍醐味だと思うので、前向きに考えます。
(一方で、本気で必要だと思ったらすでに動いているだろうし、やった方がいいことは無数に存在するということを認識しています。本当にやらなければならないことに集中するには「やらないことを決める」ことが重要です。そしてこの考え自体が、要件が曖昧な「なんかおもろ」案件がうまくいかない原因でもあります。)
宙を舞っている協業的なお話の可否を判断するには、サービスのユーザーが価値を強く感じることか、協業でないとたどり着けない新規市場もしくは手法か、リソース的に可能か、PR的価値はあるか(すべてお互いに)などを考える必要があります。何より難しいのが、企画が詰まっていないという部分。良き判断をするのは容易ではありません。なので、ざっくり以下の要素でやっていくと良いと思います。
・ハードルは高く
・イメージが70%つくか
・試すことからできるか
おそらく強めの差し込みになるのでハードルは高めに。「なんかおもろ」と言ってもさすがに「勝てそう」くらいはイメージできること。「試すことからできるか」は特に重要なので次の項目でも説明していきます。
3.有意義にするための3つのポイント
① 調べて試す
プロダクト開発ではいつもやっていること。調査は必要です。また、いきなり本番ではなく試しましょう。MVPをつくりましょう。このフェーズにおいて「SUZURIのイベントキット」でやったいくつかを紹介します。
・ユーザーにSlackで興味あるか軽く聞く
・ユーザーに課題や期待をヒアリングして深く知る
・定量的にはどんなもんかとアンケートをとる
・リソースをあまりかけずにテストをやってみる
(ユーザーのいるSlackでカジュアルに聞いてみる様子)
Slackでのユーザーとのコミュニケーションはこちらをご参考ください。
▼プロダクトを加速させるユーザーとのコミュニケーション https://speakerdeck.com/jitsuzon/communication-with-users-accelerating-products
カウンターワークスさんとはこの段階からしっかりしたプロセスができて本当に勉強になりました。
もしここで仮説に自信が持てなかったらやめましょう。他社が絡んでても偉い人が寂しい顔をしてもやめましょう。本気で成功すると思っても失敗することがあるのですから。
② アウトプットから考える
プレスリリースやSNSで告知したときに、自分たちのターゲットはワクワクするでしょうか?望むような結果は得られそうですか?では一度作ってみましょう。
ざっくり話したソリューションを盛り込みましたが全然パッとしない。パンチが弱い。分散している。ワクワクしない。変えてみます。下は実際に出したリリースです。
「場所代無料!」とわかりやすいメリットを出せて良くなりました。ここに至るまでにビジネス面の調整などがありましたが、中途半端なもので支持を得られないことは絶対に避けたかったのでやりきりました。プレスリリースのプロトタイプをつくるのは「SUZURI People」という名前を決めるときにもやっています。
③ 先が見えているか
出して終わりではありません。「なんかおもろ」案件はサイズの割に単発になることが多いかなと思います。すごくもったいない。「SUZURIのイベントキット」の場合だと、キャンペーンだから5組まで対象というのは一時的なもので、ユーザーに常時提供する気持ちがあります。イベントをしたいというユーザーは多くいるので、できるだけ多くの期待に応えることを目指しています。今はスケールのための検証が進んでいるところ。ビジネス設計や取るべき指標の設計までカウンターワークスさんと共同してやれているので本当にパートナーという感じで、大変にありがたいです。みんな得するようにやっていきたい。もっと幅の広いクリエイターの支援もやっていきます。
さいごに
「なんかおもろ」系のような抽象度が高いものは、着地させるのが難しいと思います。加えてステークホルダーも多くなりがち。逆にできるようになると自信になるでしょう。僕がカウンターワークスさんと経験したものは、「なんかおもろ」系なふわっとしたものよりずっと先に行っていたので、自分の力は薄いですがちょっとだけ自信になりました。プロダクトの直接的な開発だけでなく、企画っぽいところにもプロダクト開発の知見が活かせるので、PMやPMMやってみたいという方は動いてみるのもよいのでは!
というわけで、なんか面白いことやりましょう。
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