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『海に眠るダイヤモンド』……「どげんしたと?」杉咲花の方言がべらぼうにかわいい【新人ライター玉越陽子の「きゅるきゅるテレビ日記」】#33


(公式サイトより)

 メジャーリーガー・大谷翔平選手の今年の一字は「一」だそう。「一」かあ。元通訳の水原一平氏は元気かなあ。よきクリスマス、正月を迎えてほしいものですな。We wish you a Merry Christmas,And a Happy New Year.~♪

 野球は好きなほうだ。今現在、楽天を退団した田中将大選手の進退にハラハラしてるし、プエルトリコで武者修行中の大谷世代・藤浪晋太郎選手がメジャーに戻れるかどうかもとても気になる。なのに、オオタニサンにはこれっぽっちも興味がわかない。無。「好きの反対は無関心」という言葉を教えてくれた男・オオタニサン。世界を舞台に活躍する人間というのは、末端に生きる私のような人間にもなにかしら影響を与えるようだ。さすが、オオタニサン。すごいっす。

 無関心でも、きっかけひとつである日突然、俄然興味がわいてしまうということもある。私は今、『海に眠るダイヤモンド』の杉咲花に夢中だ。興味津々だ。

 杉咲といえば、Pasco「超熟」のCM。「わかるう?」と言っている人。私の中では、俳優よりも超熟の人、というイメージ。春ドラマ『アンメット』に主演出演していたこともさっぱり忘れていたぐらい、俳優・杉咲花に関心を抱いたことはない。そう、『海に眠るダイヤモンド』を見るまでは。

 1955年からの石炭産業で躍進した長崎県・端島と、現代の東京を舞台にした70年にわたる愛と友情、そして家族の壮大な物語。公式サイトのあらすじを読んで、TBSの日曜劇場ってほんと「壮大」って言葉好きだよなあ、と思ったり、過去と現代を行ったりきたりのドラマって見ていて気持ち切れちゃうし、話についていけなくなる確率高いんだよなあ、はあ、とため息ついたり、後ろ向きな気持ちでドラマを見始めたのだが、回を重ねるごとに杉咲花から目が離せなくなった。べらぼうにかわいいのである。

 杉咲は過去編、食堂の看板娘・朝子を演じている。幼馴染役の神木隆之介、土屋太鳳、清水尋也は一度、進学で端島を出たが、杉咲は生まれてこのかた端島を出たことがないおぼこい田舎娘。進学組が標準語をしゃべるのに対して、杉咲は「どげんしたと?」「しとうなか」「やりたいけん」と長崎弁でしゃべる。これがまあ、かわいいのなんの。字面では杉咲のかわいさの100分1も伝わらないのがもどかしい。

 「どげん」と聞いて、これまでの私は、東国原英夫元宮崎県知事の「どげんとせんといかん」ばかり思い浮かんでいた。長崎弁と宮崎弁で違いはあるんだろうが、よそ者なんで微妙な違いはわからない。河村たかし元名古屋市長の名古屋弁と双璧をなす、汚いおっさんがしゃべる方言というイメージしかなかった。それが一変、「どげん」にきゅんきゅんする日がくるとは。人生、何が起こるかわからない。

 昔、六本木のとある会社に出入りしていたとき、道すがらに「方言女子」という会員制ラウンジの大きな看板があった。地方出身の私は「そんなに方言っていいのかね」と白けた気分で眺めていたのだが、今ならわかるぞ、方言の魅力が。

 最後に。今回、調べて知ったことなのだが、前述した「方言女子」は、ケータイ小説の走りとなった『Deep Love』の作者であるYoshiがプロデュースした店だ。この無益な情報、1人で抱え込むには息苦しすぎて、みなさんに共有してみた次第である。

【著者プロフィール】
玉越陽子(たまこし・ようこ)
愛知県出身。地方出版社を経て上京、雑誌・WEBメディアのフリーの編集・ライターに。起きている間は仕事中でもテレビをつけているテレビ好き。カピバラも好き