「そこは死と隣り合わせの世界」……本当は怖い日本のサウナ【ライター根本直樹の裏社会漂流記 その8】
これまで私は主に「社会の裏側」を取材し、記事にすることで糊口をしのいできた。その過程で見てきた、さまざまな「闇の景色」を点描してみたいと思う。今回は「サウナ」シリーズ最終話。前回の記事はこちら↓
サウナとは悪所である
サウナブームと言われて久しい。
「整う」などという恥ずかしいワードが流行語になり、サウナがテーマのテレビドラマまで作られる始末。こんなメディア挙げての「令和のサウナブーム」が演出されてきたここ数年の愚を顧みるたびに、私は苦虫を噛み潰したような心持ちになる。
サウナとはけっして「整える」場所でもなければ、ブームになっていい場所でもない。もっと言えば汗をかく場所でさえない。サウナとは本来「悪所」(あくしょ)であり、健全とは対極にある場なのだ。
だいたい本番ありの風俗の王様ソープランドは別名「個室サウナ」と呼ばれている。看板にそう明記している店も多い。そして売春禁止のこの国で、平然とパコパコしながら令和の今も存続している。なぜか。個室内には絶対に使うことがないサウナ装置が設えられており、それによって警察から「サウナ」として黙認されているのである。パチンコの換金システムである三店方式と同様、曖昧な日本の闇のひとつだ。
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