池袋サンシャイン「チャイニーズドラゴン乱闘事件」の裏で起きていた重大トラブル
100人対100人
東京を見下ろす絶景スポットとして知られる店。テーブルにはスーツ姿の男たちが座っている。揃っていかつい風体の男たちだが、殺伐とした様子はなく、どこか華やいだ雰囲気さえ漂う。
ところが直後、その景色は一変する。空気を切り裂いたのは、数人の黒マスク姿の男たちだった。
マスクの一団がエレベーターを降り突然店内になだれ込むと、瞬間、それまで笑顔で酒を酌み交わしていた宴客の顔がゆがみ、ある者はとっさにビール瓶を手にし、ある者はフォークを握りしめた。何が起こっているのか把握できていない参加者も少なくなかった。
「なんだかわからないけど、やられる前にやっちまえ」
2022年10月16日の夕暮れ時のことである。
かつて戦争犯罪人が収容されていた巣鴨プリズン跡地にそびえ立つ、いささか古びた超高層ビルディング「サンシャイン60」の58階にあるフレンチレストラン『サンシャイン クルーズ・クルーズ』でこの日、とある中国系グループの祝宴が催された。主役は〝長い旅〟から娑婆に帰還したばかりの〝中国人ボス〟。年齢50歳前後。この男の復帰を祝って、古くからの仲間や〝兄弟〟たち、友人、知人、ビジネス関係者など、総勢100名を超える男たちが集い、夕方6時、〝龍〟たちの宴が幕を開けた。
堅苦しさは微塵もなかった。会場全体が中国系特有の気楽さとフランクさに包まれていた。握手をし、語り合い、ときおりどっと大きな笑い声が巻き起こる。そしてボスの前に歩み寄ると、口々に祝いの言葉を献ずるのだ。
「お元気そうで何よりです。老大(ボス)、おめでとう!」
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