日々是暴食★トラウマめし【第31食】桜島の噴煙と黒豚とんかつ
2008年放送の大河ドラマ『篤姫』が大好きなのだが、OPテーマの出だし〝ババーン〟のとこは桜島が噴火している情景を表している。と作曲した吉俣先生が言ってた気がする。気がするだけで間違いかもしれないけど、あのメインテーマは名曲中の名曲だ。
桜島といえば長渕剛の04オールナイトライブも外せない。長渕好きはそこらじゅうにおり、実際ライブに行った先輩にその凄さをしつこいくらい何度も聞いたし、ライブ映像を何度も何度も見せられたり。
ということで桜島に行ってみよう!
長渕のライブの時は船が足りなかったらしいが、島に渡る定期フェリーがコンスタントに出ているので旅行では予約無しでもすぐ行ける。
これまた長渕の『桜島』という曲(名曲!)の歌詞に
〈山よ、岩肌よ、ゴツゴツのおまえ 貴様の前に立つ〉
という一節がある。フェリーに乗り次第に近づいていく桜島は確かにゴツゴツのおまえという感じ。長渕はこいつを前にして〈情熱の血液が俺のからだを走りかけめぐる〉そうだが、自分はただただボーッと圧倒された。
盛岡人ならば岩手山が郷土のお山、〝おらほの山〟になる。「ふるさとの山はありがたきかな」。私は花巻なので強いて言えばふるさとの山は早池峰山とかになるが、目の前の桜島の猛々しさに比べれば穏やかなものだ。活火山のかっこよさがある。
気候と同様に、地域を象徴する山もそこで暮らす人々の性格に与える影響は大なはず。薩摩隼人の強さは、やはり錦江湾に浮かぶ桜島の噴煙にあるのだろう。
島を一周するバスに乗った。オールナイトライブを記念して建立された「叫びの肖像」の前にたつ。ここに来たかった。うーん長渕剛はすでに神様か仏様か、地方都市におっ立つ巨大仏像のような存在になっているのか。
来年またここでライブをやり引退するのか? 芸能担当とすれば最近騒がしいプライベートの問題も含めて気になるところだが、もしこの聖地に剛が戻ってくるならば全国から数万人の信者たちが再び集結するだろう。そんな事情を知るよしもない猫ちゃんがモニュメントのそばをブラブラしていた。
夕暮れの錦江湾をフェリーで突っ切り歓楽街へ戻る。
熱すぎる温泉銭湯「かごっま温泉」でひとっ風呂浴びて牛乳をゴクリ。脱衣所のテレビでNHKの上白石萌音のインタビューが流れていた。旅行へ行ったのはちょうど朝ドラ『カムカムエブリバディ』が放送されている時期。
上白石姉妹はここ鹿児島のうんだスターである。カムカムは大変な名作で、特に萌音演じる「安子編」は涙涙、涙が枯れるほどの大感動巨篇で鈴木奈穂子アナばりに私も毎朝泣いていた。妹の萌歌は次作の『ちむどんどん』という大変な迷作に出演することになり、また違った意味で鹿児島を沸かせたかもしれない。
鹿児島ですごす夜は今日で終わりだ。たくさん食べよう。まずは『黒べえ』さんで黒豚のとんかつをいただく。脂が甘く、肉は柔らかい。黒豚のとんかつは米だけでなく酒にも合う、とのことなので当然芋焼酎をいただく。これはやっぱり南国の味だ。
まだまだ食べれる。コロナの影響がまだ残る天文館では遅くまで開いている店も少なかったが、老舗ラーメン屋の『のり一』さんがやっていた。ラーメン中(550円)に湯で玉子を注文。
透き通ったスープにもやし、煮豚、ネギが浮く。ズズっとスープをすする。なんだこの滋味溢れる優しい味わいは。鶏8豚骨2というスッキリしたスープは、九州といえば豚骨ラーメンという思い込みを叩き壊す衝撃的な美味さであった。あー、大でもよかった。。。
ライトアップされた西郷さんは昼間とはまた違い、ゴジラ級の存在感を放つ。銅像の前の説明看板によれば西郷さんの座右の銘は「敬天愛人」だそうだ。天を敬い人を愛す。大きな人だったので政局には向かなかったのだろう。
〝かごんま〟はわっぜ面白い場所だった。来年長渕の桜島ライブあるなら行こうか。いや行かないな……ひっそりとまた来訪してみたい。
鹿児島編<了>