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ライター根本直樹のTOKYOバカ一代 外道伝#2 「かっぱらいのプロ」逝く。アル中泥棒マナブの人生(その2)

 なぜか昔から、市井に暮らす、名もなきバカが好きだった。マナブもそんなバカの1人である。これまで多くのバカと付き合ってきたが、こいつはその中でも最上位に位置する“本物”だった。
(前回の記事はこちら→https://note.com/jitsuwa_knuckles/n/n0379ded23afe)

転がり込んできた「居候の居候」

 今から17年前、真夏の夜。

 大量の缶ビールや菓子類、缶詰などを買い込み、JR新小岩駅からほど近い、後輩ライターK君の6畳1間のアパートに到着した。このあたりは不思議なエリアで、住宅街にも関わらずラブホテルが点在していて、看板のネオンがちかちかと怪しく輝いている。毎日週刊誌の取材で忙しく飛び回っているK君はまだ不在だった。ポストの奥から鍵を取り出し、マナブを部屋に招き入れる。

「うわ、汚ねえ」

 これから世話になるというのに、マナブは平然と言い放った。

「なんかイカ臭くないですか?」
「お前、居候の居候なんだから贅沢言うなよ」

 そして私は“よかれ”と思って、部屋の掃除と模様替えをすることにした。これによってK君の心証が少しでもよくなればという浅墓な思慮からだった。

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