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【ルポライター安藤海南男「さよならマスゴミ」#10】記者クラブのタブー「飛び降り」とは

「確かにやってるよ」

 肩すかしを食らった気分だった。黒皮のソファーに身体を預けた「2課長」は眉一つ動かさない。あまりにも淡々とした口調がかえって不気味だ。こちらの動揺に気づいたのか、見せつけるように笑みを浮かべて言葉を継いだ。

「ちなみに言っておくと、キミんとこが3社目だから」

 余裕綽々だった理由はこれだったわけだ。ハイヤーでの逃避行から一夜明けたこの日、私が「2課長」のもとを訪ねたのは、サブキャップのYが入手してきた経済事件の内偵情報を当てるためだった。情報の確度を確かめる、いわゆる「裏取り」である。

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