【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】宮城県某所の「キリスト看板を作る男」
ちょっと怖い、あの看板の正体
日本全国いたるところで目に飛び込んでくる〝キリスト看板〟。黒をベースにして、白と黄色の文字で書かれている〝あの看板〟は、宮城県丸森市某所にある『聖書配布協力会』というところで製作されている。
気候も穏やかなある日、現地に着いて〝キリスト看板〟を見せてもらうためにしばらく待機していると、「看板の発案者」であるリチャード・ノーマンさんがやって来た。
「看板に書かれているのは、神の御言葉や救いの御言葉です。ところどころ聖書からとって短くしてます。『聖書配布協力会』というのは、宗教団体や教団ではないですね。この施設には、〝教会〟はないですね。あっちのホールやこっちのホールで聖書を読みます。献金などもありません」
ノーマンさんは、我々の質問に丁寧に答えてくれた。もちろん包み隠すようなことはなく、事実をありのままに話してくれた。
「私たちはよく仙台で英語教えているですね。コンピュータ会社もありますね。そのお金を使って看板を作っています。45年間でだいたい35万枚。ステッカーも含んで40万枚以上貼りました。フォントはコンピューターで作っています。看板は、すべて許可をもらって設置しています。古い倉庫であっても誰か持ち主いるですから、黙ってやれば違反です。看板(に書かれている文言)は、相手の方に選んでもらいます」
〝キリスト看板〟は、勝手にベタベタと貼られている訳ではなく、ちゃんと家主の許可をもらって貼られているのだ。看板には「罪」、「罰」、「神」などといった言葉が多く使われている。日本人からすると〝ギョッ〟となるが、「キリスト」という4文字が入っているので、妙な安堵感を覚えてしまのは不思議だ。
この施設に着いたとき、最初に対応してくれた男性は、布教キャラバンカーに乗り込むと九州へと旅立って行った。この男性は、満面の笑みを浮かべながら手を振ってくれた。いつか一緒にキャラバンカーに乗って旅をしてみたいものである。