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【急増】「オンラインゲーム交際」を機に包茎手術を受ける男たち

 日本国内では年に10万件もの手術が行われているともいわれる包茎手術。一般的には、完全に"天岩戸”にお隠れになってしまっている「真性包茎」に悩む患者が多いと思われるが、戦闘状態時にはペロンと剥ける「仮性包茎」の患者の方がむしろ多いと、形成外科医のG医師(50代)は語る。

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「なぜかApexばっかり」

 そんなG医師がいま、最も気がかりなこと──それは「オンラインゲームで知り合った彼女のために手術を受けに来た」という患者が増加傾向にあるということ。

「それが1人や2人じゃないんです。僕が受けた患者さんだけでも数十人はいます。全国の先生の受け持った患者さんもあわせたら、かなりの数になるんじゃないでしょうか」

 このG医師、自身がゲーム好きということもあるが、人当たりの良さゆえに人から話を引き出すのが上手いのか、さらに突っ込んだところまで聞いていた模様。

「そのオンラインゲームのほとんどが、なぜか『Apex(エイペックス)』なんです。『荒野行動』とか『フォートナイト』とかじゃなくて」

 ウェブで検索をかけると、"オタクでも出会える場”とプレイを勧めるブログがあったり、ゲーム内で知り合い交際を開始し、ゴールインまでしたという"Apex婚”をした夫婦の記事まである。

 Apex(正式名称『Apex Legends』)とは、2019年にリリースされた、チームで敵を倒す「バトルロイヤルゲーム」だ。当時、リリース日からわずか72時間でプレイヤー数が1000万人を超えるという偉業をなしたサービスで、現在も世界中のゲーマーから熱烈な支持を得続けている。
 G医師が挙げた他の2作品のゲームはいずれも2017年リリース。翌々年にリリースされたバトルロイヤルゲーム界の新星・Apexは、2020年のコロナ禍を機に、爆発的にユーザー数を伸ばし、いまだに王座に鎮座し続けている構図となる。

 いつの時代もゲームは男性ユーザーが圧倒的に多い印象が強いが、そのステレオタイプなイメージを打破したのもApexだ。
 現在はApexをプレイすることで収益を得ている「eスポーツ」のプロ選手や、YouTubeでプレイ動画を配信するYouTuber・Vtuberが増加。そのことが後押ししてか、女性のプレイヤー数は激増し、現在の男女比はほぼ1:1ともいわれている。

 女性ユーザーの増加が著しいApex。チーム戦のゲームというから、ユーザー同士は親密な関係にもなりうる。そりゃもちろん、どうせ同じオンラインゲームをするくらいなら、日頃出会いのない男性が選ぶゲームは一択だ。

彼女とは「まだ会ったことない」

 しかしそれはいいとして、なぜ包茎手術をすることになるのか。実際にゲーマーチンポの皮剥きを、全国各地で何件も担当してきたG医師の見解はどうなのか。

「イメージ通りかもしれませんが、やはり非モテ男性風といいますか、服装もあまり小綺麗な感じではなく、女性経験が多そうに見える雰囲気じゃない人が確かに多いかもしれませんね。年齢は20代~50代まで、幅が広いです。みなさん『彼女ができたので』と言う方が多いんですが、聞いてみると北海道と中部地方とか、関東と四国とか、どう考えても頻繁に会うことは難しい遠距離恋愛だったりするんです。なんなら『まだ相手とは会ったことはない』って方もいましたよ。時代なんですかねぇ」

 話を聞くに、おそらく女性との初めての性交渉がついに実現しようというタイミングで、自分なりにネットでいろいろ検索しまくったりしたのだろう。「初めてのセックス 包茎」「包茎 嫌われる」など。しかし、その名ばかりの"彼女”にまだ会ったこともないのにカウンセリングに行くとは、いろいろ早すぎやしないか……。

 G医師いわく、仮性包茎は保険適用になることはないというから、彼らは数十万円かけてでも、彼女のために皮を切りに来るというのだ。
 中には、カウンセリングで見積もりを聞き、手術を泣く泣く諦める患者もいるというが……ただでさえ課金沼のオンラインゲームのプレイヤーだし、無理もないだろう。

 「今や一番の婚活場所は、オンラインゲームかもしれませんね」と感慨にひたるG医師。
 婚活に限らず、リアルでは人との関係が希薄になったこの時代に、出会いの場として隆盛を見せるオンラインゲーム。プレイヤー間で事件が起きることもそう珍しくない時代となったが、そういった珍事に限らず、オンラインゲームは想像以上にプレイヤーたちの人生そのものに食い込んできているようだ。

<著者プロフィール>
ヤスデ丸(やすでまる)
「実話ナックルズ」の女編集部員。埼玉生まれ中東ハーフ。いよいよアラサー。YZF-R3を手放して、車検のないニーハンに乗り換えたい今日このごろ。好きなプロテインは「ウマテイン」ミルクティー味。「1万逃歩日記」「裁判傍聴ファイル」など不定期で掲載中