【昭和TVドラマプレイバック】封印された大映ドラマ
イジメ・虐待とヤりたい放題! 過剰演出が物議を醸した大映ドラマの内容とは──
主に80年代に一斉を風靡した大映ドラマは、本放送当時は社会現象を巻き起こした作品も数多く存在している。例えば、アイドル・堀ちえみの出世作となった『スチュワーデス物語』、同じく小泉今日子の人気を不動のものとした『少女に何が起こったか』、刑事ドラマにコメディ要素が加えた『噂の刑事トミーとマツ』、さらには多重人格の主人公という時代を先取りした感もある意欲作『ヤヌスの鏡』など、現在もなお伝説化している作品も少なくない。しかしその一方で、その作品の多くが、現在でいうところの昼ドラ的なドロドロ感と、派手な罵倒・暴力、さらには強烈なイジメシーンが特徴となっていたことから、当時と時代が大きく変わってしまった現在では、その大半が地上派では、再放送不可の状態となっているのが実情だ。未成年の喫煙シーンに、過酷すぎる校内リンチ、崩壊しまくる家庭環境…いずれも現在のドラマではタブーな要素だが、こうした苦境からの這い上がりや成り上がりを美談とする昭和の気風もまた、当時のドラマにとっては重要な要素であったといえるだろう。
取材・文/三ツ木大蔵