日々是暴食★トラウマめし【第10食】アレキサンドリアで地中海シーフド爆食い
カイロから列車で北上
ピラミッドへ初詣したのはいいが、完全に風邪をこじらせてしまいホテルで寝込んでしまった。乾燥している気候とお湯も満足に出ず暖房もない安宿のせいだ。丸一日寝込んでなんとか熱は下がったが、予定してた日程がずれてしまった。
計画ではエジプト南部のルクソールへ列車で10時間ほどかけてゆっくり向かい、王家の谷や神殿を見に行くはずだったが、今から向かったとしてもバタバタするだけのような気がする。
地球の歩き方を読み直した。南ではなく逆に北のアレキサンドリアに行こう。近いし。そうなれば即行動、ラメセス駅へ向かった。ここから3時間半ほどで地中海の街へ着く。
その名の通り、アレキサンドリアはギリシャの人アレキサンダー大王が征服し自分の名前を冠した街だが、その後も遠征は続きインドまで攻め込んだんだからハンパない。大王はその後ハチに刺されて32歳で死んだそうだが、人生が濃すぎたんだろうか。
海風が気持ちいい。同じ地中海でもアフリカから見るのとヨーロッパから見るのでは何か違うのだろうか。海は海、同じだろうか。港町なのでシーフードが名物なようだ。いつも大繁盛という「シャーバン フィッシュ レストラン」へ行ってみた。
うーん、アラビア語がわからん。旅行した2017年当時、Wi-Fiなんぞ使うもんか精神で行き当たりばったりだったためGool翻訳も使えない。そもそもまだ無かったか? とりあえず陳列されていた生魚を指さして、これ頂戴、あとライス、みたいな感じで注文してみた。すると、おお…思ったよりたくさんきちゃった。
揚げた何かの魚2匹、エビの唐揚げ、トマトたっぷりのサラダ、エイシというパン、そして焼き飯。しまった、パンがついてくるのか。米は余計だったな。しかし頼んでしまったものは仕方ない、孤独のグルメだが完食目指して頑張ろう。
地中海料理ならではか、サラダはオリーブオイルの風味が効いている。サクサクとした魚やエビにもぶっかけて食べると美味。レモンをサッとかけると、気持ちの良い清涼感が鼻を抜ける。これはなんと洒落たシーフード料理だろう。淡白だがしっかりとした旨味がある。
タヒーナと呼ばれる白ゴマペーストのソースがまたいい。胡麻に水、レモン汁、おろしニンニク、塩、オリーブオイルなどで味を整えた万能ソースだが、これがまた何にでも合う。正直持て余したパンや米でもソースをかけると味変となり実に美味い。
腹一杯だ。これで千円くらいなのだからエジプトの物価はものすごく安い。
店内をうろつく猫がいる。向こうのテーブルのおじさんはテーブルの下にぼろぼろと魚やパンのカスを落としているので、そいつを舐めている。俺は日本人だから綺麗に食べるぞ、猫よ。なんでも猫は預言者ムハンマドに愛されていたことから、現在もムスリムにとっては敬愛される対象なんだとか。どうりで街中に猫がたくさんいる。猫好きの人はアラブへ旅行へ行くことをオススメしたい。
翌日早起きして、第二次世界大戦の激戦地エル•アラメインへ乗合バスで行ってみた。軍事博物館が目的地だが、その手前の英軍の戦没者墓地へ訪れてみた。整然と並んだ墓跡には、北アフリカ戦線で散った英国、ニュージランド、オーストラリア、南ア、仏国、インドなどの戦没者約7千人が眠っているという。砂漠のど真ん中なのに綺麗に整備がされていた。
軍事博物館へ徒歩でやってきた。頼んでないのにつきっきりでガイドがついてくる。英語が不得手なので、わかったふりしてフンフン聞いてたら何か質問されてたらしい。「お前何もわかってねえなww」と笑われた、あなたは現役の軍人なのかな?
エル・アラメインの戦いといえば、なんといっても「砂漠の狐」ドイツのロンメル将軍である。北アフリカでの大活躍で英雄となりながら最後は自決という非業の死を遂げた名将を素直にカッコいいと思っている。そんなロンメルのトレードマークといえばゴーグルである。博物館にはロンメルが着用したとされる軍帽とゴーグルがあった。「本物だ」とガイドは言うが本当か? 70年以上前のものにしては綺麗すぎるし、大体なんでここにあるんだ?
ちょっと納得できなかったが展示物は蝋人形がB級感を醸し出していて中々良かった。最後にお土産購入を強制されて頑丈なキーホルダーを買わされたが、いまだに旅行用バッグについていて何気にお気に入りである。帰りのバスを拾うのに一苦労しつつ、ルートバスは砂漠をひた走りアレキサンドリアの停車場に戻った。
途中、あまりの寂しい酷道に本当に帰れるのか不安になって運転手に聞いてみたらガハハと笑われ、タバコを交換して仲良くなった。しかしエジプトのタバコはキツすぎる。
あたりは真っ暗でものすごく疲れた。外食する気にならなかったので、エジプトの国民食、コシャリをテイクアウトしてホテルに帰った。コシャリとは、米、マカロニ、パスタにヒヨコ豆を混ぜて、揚げ玉ねぎにトマトソースをかけた庶民の丼で、日本だと牛丼みたいなやつだ。炭水化物祭りなジャンクな食い物なのだが、これが信じられないくらい美味い。店によりソースの味付けが違うので、吉野家とすき家・松屋の違いのように、庶民の味ならではの奥深さがある。
ものすごく安いので、途中からほぼ毎食コシャリを食べていたと言っても言い過ぎではない。気に入りすぎて帰国後、錦糸町のコシャリ専門店コーピーさんにも行った。もっと日本で流行ってもいい食べ物だと思う。食べたい人はぜひ錦糸町へ!
続く