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東良美季の昭和平成SEX裏面史「このアダルトビデオが時代を変えた」#02

昭和から平成に移るその時代、それはエロの価値観が大きく変わった時代でもある。ノンフィクション作家・東良美季が衝撃を受けたアダルト作品を元に、日本のAV創世記を紐解いていく

第二回 1981年
『愛染恭子の本番生撮り淫欲のうずき』の奇跡


本作『愛染恭子の本番生撮り 淫欲のうずき』はアテナ映像のサイト「アテナonline」でダウンロード可能

幾つもの偶然

 これはイラストレーターで「マイブーム」や「ゆるキャラ」の命名者としても知られるみうらじゅんさんから聞いた話。氏がデビューしたきっかけは1982年、講談社『週刊ヤングマガジン』のちばてつや賞の受賞だった。賞金は20万円。大卒初任給の平均が12万円だった当時、武蔵野美術大学に通う学生のみうらさんは思い切ってビデオデッキを購入した。近所の商店街にある電気屋さんでだ。梱包したデッキを抱え意気揚々と下宿先のアパートへ帰ろうとしたとき、店のオヤジさんから肩を叩かれた。そして「お客さん、これオマケですから」と、一本のビデオパッケージをソッと手渡された。『愛染恭子 淫欲のうずき』(1981年)、代々木忠監督作品であった。

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