【前編】女性弁護士を痴漢……もはや官能小説のような陳述書【ヤスデ丸の裁判傍聴ファイル #2】
今回はかねてより裁判傍聴に興味があったという友人を連れ、裁判所へ。
霞が関のコンクリートジャングルでは、植樹された木々にしがみつくアブラゼミたちがけたたましく鳴いている。
アスファルトに囲まれた東京の夏はすぐには終わらない。そして、夏が長いということは、世に生きる変態のシーズンもまだまだ終わらないのである!
「中3の息子の塾代でカツカツなので示談金は払えません」
いつもならご老人の無料娯楽施設化している(ようにも見えちゃう)裁判所だが、なんだか親子連れや若者が多い。
そうか、今は夏休みか……。おそらく、学校に提出する日記だか自由研究だかが決まらないキッズたちが、親に提案されてネタ探しにきたとかそんなところかしら。いいね、青春だね。夏休み終盤に、自由研究も間に合わなくて急に貯金箱という名のガラクタを作って、9月末にはゴミ箱行きなのもまた青春です。
平均年齢がグッと下がった本日の裁判所。普段ならガラ空きの大麻や覚醒剤の法廷が、満席、満席、そして満席。友人が初めてということで、流れのわかりやすい新件の裁判を傍聴予定だったが、「強制わいせつ致傷罪」の審理を傍聴することに。
男性裁判員による被告人質問を皮切りに開廷する。
裁判員「また同じようなことをしないために、何か決めたことはありますか?」
被告人「はい。『STOP』と声に出して周りの人にも気づいてもらい、自分の行動を止めます」
ここらへんで、おそらく痴漢をしたんだろうと予測できる。てか、急に「STOP!」とか叫ぶおじさんは違う意味で危険視しちゃいそうだな。なんか、電波的なものを感じちゃうよ。
続いて若い女性の裁判員が質問。
裁判員「他の男性が女性を触っているのを見て、興奮して自分もやってしまったと言っていましたが、本当にいたんですか?」
被告人「はい、いました。2人で触りました」
どうやら電車で別の男性が女性に痴漢をしている様子を見た後、謎の積極性を発揮して自分も痴漢に参加してしまったという。その男性が下車してからは1人で犯行を続けていた模様。
ちなみに罪名に「致傷」と付いているのは、被告人を逃すまいと腕を掴んだ際、被害者女性が引きずられて怪我をしたから。
被害者は示談金350万円を提示したものの、被告人は「中3の息子の塾代もあり経済的に難しかった」ために交渉はなかなかまとまらず……結果的に親に借金して示談金を支払うかたちに。そんなカツカツの中で塾に通わせなきゃならん時代なのかしら。
示談金を支払ったと聞くと、刑事裁判にはならないようなイメージもあるが、この手の性犯罪は『非親告罪』といい、仮に被害者が告訴を取り下げても検察側の判断で起訴されるケースがある。今回もこの類かと思われる。
通り一遍の被告人質問が終わり、被害者の担当弁護士の女性が陳述書を読み上げ始める……が、これがなんとも衝撃的だった。(後編につづく)