ジーツ
東京・四谷に拠点を置く、のですが全国どこへでもリーズナブルで美味しいものを求めて、スキマを縫って探しに行きます。
旧友の小関君から「ブックカバーチャレンジ」のお誘いをいただいたので、1冊だけ参加させていただきます。 3月15日に永眠しました父・辻五郎が初めて世に出した詩集です。 現代詩はそういうものでしょうが、難解で「重く」、いまだに理解も咀嚼もできません。 ですが、父の「証」として、いくつかの作品をnoteに上げていこうかなと思っています。
朝 きちんと背を伸ばし 金文字で社名をかいたドアーを押す 夕刻 人の流れにもまれながら懸命に帰宅 ころっけ みりん乾しなどを食べる。 それから寝る前に小さな声で お前よ 世界よ 「否だ」 と呟く。 けれども陽はまた昇る、のである。 人殺しはやらなかった。 尖った鉛筆で細かい数字を沢山かいた。 火つけはやらなかった。 気付かれないようにスカートの下の円い膝を眺めた。 盗みはやらなかった。 給料日にポケットを何回となく叩いて帰宅。 それで寝る前に口のなかで 「否」と呟いた。 だ