都知事選前に佐々木信夫先生のお話から学んだこと
1.日本の未来を占うともいえる東京都知事選
東京都知事選挙は、東京の未来だけでなく日本の未来をも決定する重要な機会です。YouTubeで候補者の政権放送も一通り視聴しています。関連するYouTube動画も多くみていますが、候補者個人の言動や疑惑に焦点が集まる動画も目立ちます。フィルターバブルによりバランスを欠いた情報が入りがちです。そんな中、今回は、中央大学名誉教授の佐々木信夫先生による学術的観点も交えた都知事選に関する解説を伺う機会がありました。
現状の選挙プロセスには多くの問題点が指摘されています。立候補宣言の遅れや公約の内容とタイミング、選挙の不正行為の可能性などが、民主主義の原則に反する状況を生み出しています。東京都がどのような都市になるべきかについて、普段得られる情報とは異なる観点から学び、整理しました。
なお、以下は佐々木先生のお話を基に私が整理したものであり、佐々木先生ご本人が発言をしている内容とニュアンスが異なる場合があります。正確には、以下のYouTube番組でのご発言などもご参考にしていただけたらと思います。
2.現状の都知事選挙における問題点
①立候補宣言の遅れ
東京都知事選挙において、立候補表明が極端に遅れたことは問題だと指摘されます。他の都道府県などを含め多くの現職が再選を目指す場合、通常3か月前くらいは出馬表明をしますが、今回のケースでは立候補表明が選挙の5日前、公約発表が2日前でした。これは有権者に対する情報提供の面で不適切であり、十分な情報を基にした選択が難しくなります。
②公約の内容とタイミング
公約発表の遅れは、有権者が候補者の政策を十分に理解し、比較する機会を損ないます。さらに、学歴詐称など現職に対する疑惑が解明されないまま選挙が行われています。透明性が欠いたままとなっています。
③選挙の不正行為の可能性
多数の候補者が同一の政治団体から立候補し、掲示板の売買などの行為は選挙の公正性を損ねる行為といえます。これらの状況は、国際的な視点からも説明が難しく、民主主義を標榜する選挙とは言い難いものだと指摘されています。
民主主義において、選挙は候補者が政策を論じ合い、有権者がそれに基づいて選択を行うプロセスが必要です。上記のような現状の東京都知事選挙では、このプロセスが省略されているように映ります。
3.都知事に求められる資質
①大都市の経営者としての能力
東京都は日本の首都であり、世界有数の大都市です。都知事には、大規模な組織や都市を経営する能力が求められます。都市の発展や住民の生活向上を図るための戦略的なマネジメントが必要です。
②政治家としての問題解決力
都知事は単なる行政官ではなく、政治家としての役割も果たす必要があります。中央政府に対して意見を述べ、地方自治体の立場を強く主張する力が求められます。
③ 対国際社会としての外交官の顔
東京は国際的な都市であり、都市外交を推進する能力が求められます。世界各都市との連携を深め、東京のプレゼンスを高めるための外交スキルが必要です。
4.都政の課題と改革の方向性
①生活都市と経済都市の振り子
都知事となる方には、東京を生活都市として重点を置くべきか、経済都市として重点を置くべきかの判断が求められます。
②改革をリードする役割の消失
東京都知事はこれまで、官僚出身者、学者、政治家の三つのグループに分けられてきました。最近では、政治家が主流となっており、行政の視点が欠けていることが問題視されています。これを打破するためには、政治家ではなく民間経営者の視点を持つリーダーが必要とされるかもしれません。
③ 政策の重要性
都知事選挙では、候補者の個性よりも具体的な政策が重要です。都市問題の解決に向けて、生活重視のソフト政策や経済発展のためのハード政策をバランスよく実行することが求められます。短期的な人気取りの政策ではなく、長期的に持続可能な都市発展を目指すビジョンが求められます。これには、少子化問題だけでなく、高齢化対策やインフラ老朽化への対応、都区制度改革、多摩地域との格差是正、災害対策、国際競争力の強化など、多岐にわたる課題への取り組みが含まれます。
5.今後の都政の課題を踏まえたうえで
東京都知事選挙は、無党派層が多いことや、本命候補が必ずしも勝利しないという特異性を持っているとのことです。選挙に参加する有権者として、候補者の具体的な政策に注目し、自分たちの未来を見据えた一票を投じることの重要さを改めて感じております。
冒頭に「東京都知事選挙は、東京の未来だけでなく日本の未来をも決定する重要な機会です」と記しました。以下の記事にもその意が含まれています。
都知事選直前というタイミングで貴重な学びの機会をいただきましたTFS国際税理士法人の皆様に感謝申し上げます。