書籍紹介 雨森良治『今こそ「東京プロマーケット上場」』
本書では、中小企業の新しい成長戦略として東京プロマーケット(TPM)への上場を紹介しています。以下、各章の内容を詳しく紹介し、引用を挿入します。
1.TPMの設立背景と意義
まずTPMの設立背景やその意義、中小企業に特化した市場であることを説明しています。TPMは、一般市場よりも上場基準が緩和されており、地域に根ざした中小企業にとってアクセスしやすい市場です。
2.TPM上場のメリットとコスト
TPM上場の具体的なメリットや上場に必要なコスト、時間を説明しています。
3.TPM上場を果たした企業事例
TPM上場を果たした企業の具体例についても紹介しています。各企業のケーススタディを通じて、地方企業がどのようにTPM上場を活用し、どのような効果を得ているのかといった具体的な事例を把握することができます。
例えば、株式会社アートフォースジャパンの事例では、TPM上場後に求人広告費が大幅に削減され、求職者数が劇的に増加したことが記されています。
また、TPM上場の大きなメリットとして、M&Aに関する情報の確度が高くなったことを挙げています。
その他の企業の具体例の紹介もあります。
ONE GROUP 株式会社
M&A戦略における信用力の向上、上場を機に組織が自ら学ぶ姿勢を持つようになったことを紹介。TPM上場によって社内外の信頼が向上し、経営の透明性や信用力が強化されました。
株式会社サトウ産業
自社のみで「手づくり上場」を達成し、社員教育の一環として成功を収めた事例。株主構成の変動を最小限に抑えつつ、上場による信用力向上や知名度の上昇を実現しました。
株式会社テクノクリエイティブ
熊本市で初のTPM上場を果たし、知名度の向上と採用増加に成功。全国展開を目指すためのステップとしてTPM上場が有効に機能しました。
グラントマト株式会社
農業を通じた「企業価値」重視の経営がTPM上場に結実。農業ビジネスにおいてもTPM上場のメリットが活用され、企業価値の向上と地域経済への貢献が図られました。
4.TPM上場が企業経営に与える未来の影響
最後に、TPM上場が企業経営に与える未来の影響について議論しています。上場による外的なプレッシャーとそれにどう対応するか、新しい働き方への適応の重要性について述べています。また、著者はTPM上場が売上高10億円を超える辺りの中小企業の成長戦略として有効な施策となり得ることを期待しています。
例えば、企業はその成長手法をオーガニック戦略とレバレッジ戦略に分類する場合がありますが、TPM上場がもたらす成長の可能性として、M&AやIPOを活用したレバレッジ戦略も実施しやすい状況となり、成長への多様な選択肢を持つことができる
5.最後に
本書は、TPM上場に関心がある中小企業の経営者や支援者にとって、新たな情報源となります。具体的な事例と専門家の知見を通じて、TPM上場のプロセスとそのメリットを理解した上での取り組みを検討するためのガイドブックとしても有用です。