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運を呼び込む一念の経営 アートグリーン田中豊社長の講話

1.はじめに
 フラワービジネスで独自のビジネスモデルを磨き上げているアートグリーン株式会社の田中豊社長の講演をお聞きしました。

 アートグリーンは、胡蝶蘭の流通において日本でトップのシェアを誇る企業です。同社は江東区に本社を構え、仙台から沖縄まで事業所を展開しています。田中社長は昭和41年生まれで、25歳から会社経営をしています。現在、アートグリーンの年商は約25億円で、日本の胡蝶蘭市場全体の規模が250億円と言われていることから、約10%の市場シェアを持つと言えます。

2.創業の動機から上場に至るまで
 田中社長には、小学生時代にいじめの経験があります。その時、奮起し将来は社長になることを夢見ていました。大学卒業後、ゴルフ場での社会人経験を経て、様々な経営者と出会いました。中でも、謙虚に立ち回る大手上場企業の経営者と、横柄な中小企業オーナーとの対比が印象的だったそうです。この経験から、将来は上場企業の社長になることを目標に、会社を設立しました。
 会社設立当初は想定していた販路が獲得できずに、多くの苦労がありました。それでも、胡蝶蘭の販売というニッチな市場で、営業力を駆使して市場を開拓していきましたが、「花屋」という業種に対する偏見にも直面しました。これを払拭するため、新しいビジネスモデルを模索する中、銀行の関連会社への営業活動を通じて新しいビジネスモデルの種を見つけました。
 銀行の関連会社は、銀行グループ各社への贈答用の花の手配を行うことが多く、その取引ルートを獲得することで大きな取引を実現しました。この成功を他業界にも広げ、効率的に販路を確保しました。
 上場までの過程ではリーマンショックや大震災、直前期の主幹事証券の変更などの大きな出来事がありましたが、様々な困難を乗り越えて2015年に名古屋証券取引所セントレックス(現ネクスト)に上場しました。

3.アートグリーンの今後の事業展開
 同社「弊社を取り巻く全ての「困った」を解決することで社会に貢献します。」を理念とし、更なる成長を目指しています。

・提携農場と国内農場の拡大
 同社は台湾の提携農園から輸入した胡蝶蘭の種苗を国内の生産農家に販売しています。高品質な種苗の安定供給を通じて生産農家を支援し、この一貫体制が他社からの参入障壁となっています。

・障がい者雇用創出支援
 障がい者雇用の創出支援にも積極的です。企業に対し、慶弔用の花を「自社栽培」するためのサポートを提供し、栽培拠点を障がい者の雇用の場として活用しています。

・地域再生への貢献
 福島県葛尾村で「Hope White」というブランド名の胡蝶蘭の提供から生産指導までを支援し、震災復興と地域再生に貢献しています。また、福島や宮城県の大手企業や銀行との連携により、胡蝶蘭を通じた地域活性化イベントを実施しています。
 

・胡蝶蘭の回収
SDGsの一環として、胡蝶蘭の回収を行っています。例えば、銀行の頭取の就任時や企業の移転時に贈られる胡蝶蘭を回収し、環境保護に貢献しています。

 同社はニュービジネス協議会に加入しており、新たなネットワークを構築し、ビジネスチャンスを広げています。

4.先達経営者からの学び
 田中社長はニュービジネス協議会の先輩経営者と接する中で、理念経営の重要性を感じました。先輩経営者から学んだ「長の一念」を大切にし、強い意志で経営に取り組むことで運が良くなると話していました。特にドトール創業者の鳥羽博道氏の座右の銘「因果倶時」をご自身も大切にされています。因果倶時は、現在の自分は過去の積み重ねの結果であり、将来の自分は現在の一日一日の積み重ねで決まるという考え方です。

5.最後に ~想いで拓くアートグリーンの未来展望~
 アートグリーンは同業種のコングロマリットを目指し、スモールグレートカンパニーとしての成長を続けています。田中社長はウォルト・ディズニーの言葉「夢を求め続ける勇気さえあれば、すべての夢は必ず実現できる。いつだって忘れないでほしい。すべて一匹のねずみから始まったということを。」で講話を締めくくりました。


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