「SHARE SUMMIT 2024」の「NEW LOCAL MARKET」聴講記録
2024年11月5日、一般社団法人シェアリングエコノミー協会が主催する「SHARE SUMMIT 2024」に参加しました。このイベントは、シェアリングエコノミーが地域社会や経済に与える影響を探り、その可能性を議論し合う場です。
セッション「NEW LOCAL MARKE 企業・スタートアップの地域における新たなビジネス戦略」では、スペースマーケット代表の重松大輔さんがモデレーターとして登壇し、READYFORの米良はるかさん、衆議院議員の茂木敏充先生、タスカジの和田幸子さん、インフォリッチの秋山広宣さんと共に、各自の活動を通して地域課題の解決やビジネス展開の可能性について語られました。地域社会が抱える様々な課題に対し、登壇したスタートアップ企業はどのようなソリューションを提案しているのか、その事例からヒントを得たく参加しました。
1.スペースの共有による地域活性化
スペースマーケット代表の重松さんは、地域の空間をシェアすることで新たな価値を生み出し、地方経済の活性化に貢献しようとする自社の事業を紹介しました。現在、同社では36,000以上のスペースを提供し、20の自治体と協力して公共施設も開放しています。重松さんの「スペースのシェアによって人々が集まり、地域の新しい魅力が引き出される」という取り組みから、地域資源を活用するシェアリングエコノミーの意義に触れました。
2.クラウドファンディングと新しい資本主義による社会課題の解決
READYFOR創業者の米良さんは、クラウドファンディングを通じて社会課題解決を目指し、新しい資本主義の形を提案しています。READYFORでは、寄付や篤志家の支援を地域に根ざしたプロジェクトに集め、地方の課題解決に貢献できるエコシステムの構築を目指しています。社会的意義のあるプロジェクトが資金を得やすくなり、地域に必要な取り組みが進むことで、民間主導の課題解決が実現していくモデルを提案しています。
3.家庭から生まれる社会貢献と新しい働き方
タスカジ代表の和田幸子さんは、家事代行サービスを通じて家庭内の「困りごと」を解決し、地域社会を支えるビジネスを展開しています。タスカジは1時間1,500円で家事代行サービスを提供するだけでなく、家庭で得られる知見を社会にシェアし、社会全体を豊かにすることを目指しています。「家庭内で培った知見をシェアすることで社会全体が豊かになる」という和田さんの話から、家庭の中から生まれるサービスが地域支援のビジネスモデルとしても発展する可能性を学びました。
4.地域とグローバルの両立を目指すシェアリングサービス
インフォリッチの代表である秋山広宣さんが、モバイルバッテリーシェアリングサービス「Charge SPOT」のグローバル展開と地域貢献について語りました。2022年にはグロース市場に上場し、現在はヨーロッパや台湾、オーストラリアにも拠点を拡大しています。その展開とともに秋山さんからは、「災害時には無料でバッテリーを提供するなど、地域のインフラとしての役割も担いたい」という言葉には、グローバルでのシェアリングサービスと社会的公器としての偉大さを感じました。
5.スタートアップ支援とシェアリングエコノミーの可能性
衆議院議員の茂木敏充先生からは、地域課題の解決に向けたスタートアップ関連施策の実績が紹介されました。茂木先生は、スタートアップが日本経済の成長や地方創生の両面で不可欠な存在であると述べ、地域に根ざしたビジネスへの支援を継続する姿勢が感じられました。また、海外の成功事例を参考にし、日本でもスタートアップが活躍しやすい環境整備を進める必要性についても言及しました。
6.感想として ~シェアリングエコノミーの未来と地域の発展~
トークセッションを通して、日本が抱える課題をローカルな視点で解決するだけでなく、硬直化した状況には柔軟さが必要で、都市と地方、国内外をつなぐ発想が、地域経済の成長において重要だと感じました。スタートアップが「地域に根ざす」ことは、単なる「ローカルな課題の解決」に留まりません。多拠点生活やウェルビーイングを意識したライフスタイルの定着しつつある今、地方に限らず都市部でも求められるテーマがあり、こうした課題に対応するスタートアップが各地発で活躍することが期待されます。
また、スタートアップ同士がノウハウを共有し、共通の課題に取り組むことで、シェアリングエコノミーの「お互いに価値を出し合い、共有する」という考えが実践され、新たなアイデアや解決策が地域の発展に結びつくのでしょう。このセッションを通じて、都市もまた一つの地域であり、そこで培われたソリューションが地方や海外へ展開できる可能性があり、また、その必要性を感じました。ビジネス視点と社会的課題解決の両面を捉えたシェアリングエコノミーの実践するスタートアップが地域課題に応えながら成長し、豊かな未来を切り開くとものだと感じています。
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