あえてSNSで「誰とでも会ってみる」!?学芸員・南島興の提案するコミュニケーション空間の可能性
「今日、〇〇あたりでどなたかお茶しませんか。DMください」
横浜美術館の学芸員である南島興さん。彼は本業のかたわら、美術館の常設展をレビューするメディア・これぽーとの運営や、レクチャーシリーズ「美術批評を読む」など、美術にまつわる活動を数多く展開しています。
そして、そのなかでも一風変わっているのが「ツイッター上でタイミングの合うひとに呼びかけ、直接会って話す」という活動です。そしてこの大原則として課しているのが、誰とでも会うこと。初対面だろうと、面識があろうと、興味関心が近かろうと離れていようと、とにかく条件を問わず会うことです。
そして、南島さんはこの活動を「インターネットで、より良いコミュニケーション空間を作り出す営み」であると考えています。いったい、どういうことなのでしょうか。その全貌は『妄想講義』に南島さんが寄稿してくださった「素面」のコミュニケーション原論」にあるのですが……とはいえ、その活動がいったいどのようなものなのか実感してみたい。南島さんの担当編集である私も、Twitter上での呼びかけに応じてDMしてみました。
まったく知らない仲ではないにしろ、お会いしたのは打ち合わせの際に一度だけ。技術の発展した現在、作家と編集者はほとんど会わずにメールのやりとりのみで仕事を終えることができてしまうのが便利でもあり、物寂しいところでもあります。それはともかく、DMで「ツイート見ました。良かったらご飯どうですか」と送り、自由が丘で落ち合うことに。
「初対面」の価値
南島さんとの会話で印象に残ったのは「マッチングアプリを使った恋愛には、「初対面」が存在しない」という話でした。アプリでは基本的に、外見や情報を把握してから会う相手を決定します。そこでは「初対面の価値」が損なわれている。白紙の状態で出会い、何も知らない状態から関係性を始めるということが不可能です。しかし、それで良いのか。恋愛とはそういうものだったろうか……そんな話をしながら思い出したのは、南島さんが書いていたこんな文章でした。
「それまで互いを認識すらしていなかった者同士が通じ合う瞬間」──まさにマッチングアプリでは得られない「初対面」です。そして、南島さんが示したかった価値はまさにそれだったのか!と、実際に活動の参加者として携わってみて実感することができました。そしてそういったリアルな実感こそ、南島さんが活動を通じてつくりだしてきているものなのではないでしょうか。
多くの人はインターネットから去ろうとしつつある。
正確には、開かれたインターネットから。誰とでもつながり、誰とでも会うようなコミュニケーション空間をインターネットに求める人はもはや少数派で、多くのひとは小さく閉鎖的になっています。しかし、インターネットには本当に、そのような希望がないのでしょうか?
そのような問題意識を持つ南島さんは「まだ、インターネットにはコミュニケーション空間としての可能性があるはずだ」と考えています。そして、このような空間をさらに拡張し、増やしていくことができるはずだという「妄想」に憑りつかれているのだと書いていました。
この「妄想」について、皆さんはどう思うでしょうか?そうかもしれないと思うか、それはあまりに楽観的だよと感じるか……。
ぜひ、本編を読んで考えてみてください。
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