私たちにエアコンは本当に必要なのか?若手大工が本気で目指す「真に快適で幸福な家づくり」とは。
エアコン嫌いの青年の叫びが、日本の住宅づくりを変えていく?
見た目は、少しルーズな印象の今どきの青年。だがその頭の中は、「自分」と「社会」と「幸福」に対するあふれんばかりの好奇心と熱意で溢れている。
そんな著者のシヨウタは、空き家を買い改修する、いわゆる「廃屋再生」を生業とする合同会社廃屋ではたらく大工であり、デザイナーだ。
彼の文章は軽妙で、心の緊張をすっとほどいてくれるような魅力がある。だが本当の面白さはそこではない。
便利すぎる生活、大量消費社会への違和感という著者の素朴な疑問から始まるこの文章は、最終的に「お腹が弱いのでエアコンが嫌い。だからエアコンのない家をつくってみよう」というとてもシンプルで、かつチャレンジングな試みへとつながっていく。
だがこの思いつきは単なる思いつきに留まらず、現代の家づくりへの批判にまで展開するのだ。
家づくりや、自然の循環に対する著者の真摯な思いが、現代的な生活に慣れきって「おかしいものをおかしいと言えなくなっている」私たちの脳にぐさりと刺さる。
さらに著者は、土着の気候や風土を活用するヴァナキュラーという考え方に基づく「ネオ・ヴァナキュラー」な建築方法や、便利すぎるものに疑念を持つ「プリミティブ思考」など、私たちの幸福を問い直す新概念を次々と生み出していく。
エアコン嫌いの青年の叫びから始まった「妄想」は、実際のモノづくりを経て様々な未来の可能性に変化していくのだ。
まるで、人生を通じて自由研究を続けている少年のような、好奇心と探究心のエネルギーが著者の文章を通じて伝わってくる。
真っ直ぐな願望だからこそ、心の深い部分まで一直線に刺さってくるのだ。
詳細はぜひ、本編を。
「本当に幸福な暮らし方」を知るきっかけに、きっとなる。
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