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私たちにエアコンは本当に必要なのか?若手大工が本気で目指す「真に快適で幸福な家づくり」とは。
本記事は、株式会社金風舎が9月30日に発刊する『妄想講義 明るい未来の描き方と作り方』の著者紹介記事です。職業も価値観も様々な24人の著者が、自分・仕事・社会・未来を自由に妄想します。
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エアコン嫌いの青年の叫びが、日本の住宅づくりを変えていく?
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1998年7月26日生まれ。岡山県出身。神戸芸術工科大学で建築を専攻。兵庫県神崎郡神河町の空き家を手にいれる。夜行性。貧乏性。常識はとりあえず疑う。デザインや動画編集や空き家改修をしているが、まだ何者でもない。 空き家と循環する環境に強い関心を持ち、若干25歳にして空き家を手に入れ、現在改装中。 改装の過程を記録するシリーズ第一弾「廃屋ランウェイ」ZINEを制作。Instagram: @shota_shirahama
@kamikawa_base
見た目は、少しルーズな印象の今どきの青年。だがその頭の中は、「自分」と「社会」と「幸福」に対するあふれんばかりの好奇心と熱意で溢れている。
そんな著者のシヨウタは、空き家を買い改修する、いわゆる「廃屋再生」を生業とする合同会社廃屋ではたらく大工であり、デザイナーだ。
彼の文章は軽妙で、心の緊張をすっとほどいてくれるような魅力がある。だが本当の面白さはそこではない。
便利すぎる生活、大量消費社会への違和感という著者の素朴な疑問から始まるこの文章は、最終的に「お腹が弱いのでエアコンが嫌い。だからエアコンのない家をつくってみよう」というとてもシンプルで、かつチャレンジングな試みへとつながっていく。
だがこの思いつきは単なる思いつきに留まらず、現代の家づくりへの批判にまで展開するのだ。
私は現代の“エコハウス”の定義に疑問を感じる。これは少ないエネルギーで快適な空間に出来るためであり、エアコンを使う前提で考えられている。
そして家が役割を終えて解体される時、エコハウスに使われた素材のほとんどがゴミとして処理される。呼吸する家はほとんどが再利用できるのに。住むときは省エネでエコかもしれないが、その素材自体はエコじゃなくてもいいのか。私はそこが引っかかってしまう。
家づくりや、自然の循環に対する著者の真摯な思いが、現代的な生活に慣れきって「おかしいものをおかしいと言えなくなっている」私たちの脳にぐさりと刺さる。
さらに著者は、土着の気候や風土を活用するヴァナキュラーという考え方に基づく「ネオ・ヴァナキュラー」な建築方法や、便利すぎるものに疑念を持つ「プリミティブ思考」など、私たちの幸福を問い直す新概念を次々と生み出していく。
エアコン嫌いの青年の叫びから始まった「妄想」は、実際のモノづくりを経て様々な未来の可能性に変化していくのだ。
まるで、人生を通じて自由研究を続けている少年のような、好奇心と探究心のエネルギーが著者の文章を通じて伝わってくる。
真っ直ぐな願望だからこそ、心の深い部分まで一直線に刺さってくるのだ。
詳細はぜひ、本編を。
「本当に幸福な暮らし方」を知るきっかけに、きっとなる。
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