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ひきずる身体を動かす「妄想」──姫乃たまが語る「生きて、立ち上がり続けるための妄想」
本記事は、株式会社金風舎が9月30日に発刊する「妄想」をテーマにしたオムニバス単行本『妄想講義』の著者紹介記事です。
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1993年、東京都生まれ。10年間の地下アイドル活動を経て、2019年にメジャーデビュー。同年4月に地下アイドルの看板を下ろし、現在は文筆業を中心にラジオ出演や音楽活動をしている。2015年、現役地下アイドルとして地下アイドルの生態をまとめた『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー社)を出版。著書に『永遠なるものたち』(晶文社)『周縁漫画界 漫画の世界で生きる14人のインタビュー集』(KADOKAWA)など。音楽活動では作詞と歌唱を手がけており、主な音楽作品に『パノラマ街道まっしぐら』『僕とジョルジュ』などがある。
不妊治療って痛みと不安のミルフィーユで、定期的に絶望も用意されてる。出口が見えなくて目の前が真っ暗だけど、人間っていつ死ぬかわからないのと同じくらい、いつ生まれてくるかもわからないんだよね。今日が一番悲しい日だといいね、がんばれ私。
10年ものあいだ主に地下アイドルとして活動し、2019年に引退。現在は精力的に執筆・歌手活動を行っている姫乃たまさん。彼女が今回「妄想」というテーマで書いてくださったのは、自身の「不妊治療」についてでした。
姫乃さんの書かれる文章は、どこか中性的です。まったく知らない国に突然やってきた子供が、感じるままに面白さや不安を綴っているような魅力があります。素直で掴みどころがなく、切実さと浮遊感で読む人を感傷に浸らせる。今回『妄想講義』に寄稿していただいたのも、そんな文章でした。
タイトルは「今日が一番悲しい日だといいね」。
地下アイドルと「妄想」?
現在は書いたり、喋ったりといったお仕事がメインの姫乃さんですが、やはり「黎明期から活躍する、ソロ地下アイドルの代表的存在」というイメージが強いです。
著作も『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー)、『職業としての地下アイドル』(朝日新聞出版)、共著で『地下アイドルの法律相談』(日本加除出版)と「地下アイドル」という活動にまつわるものが多いことから、編集部としても「地下アイドル」と「妄想」にまつわる原稿を依頼できれば、と考えていました。
たとえば「地下」から「地上」へ、という地下アイドルドリーム。たゆまぬ努力の結果、あるいはほんの偶然で一夜にしてスターになることもある世界では「妄想」だと一笑に付されるような想いが、さまざまな形で語られているのではないでしょうか。現実離れした「妄想」かもしれないと思いつつも「いつか武道館へ行く」と宣言するアイドル、それを支えるファン。あるいはファンからアイドルへ、ときにはアイドルからファンへ「こうなってくれれば良いのに」と抱く様々な「妄想」があるはずです。
そんな「妄想」から生じる輝きや濁りを、姫乃さんは「地下アイドル」の現場で見てきたのではないだろうか……と思い、執筆を打診させていただきました。
「不妊治療」と「妄想」?
しかし、打ち合わせで姫乃さんが提案してくださったのはご自身が取り組まれている「不妊治療」についてでした。
つまり、これまでの著作で多くあったような、当事者でありながら同時に観察者としてシーンのドラマ、熱量を書き綴るような筆致ではないものを書いてくださるのだ、ということです。ぜひ、読みたい。テイストとしては、新刊の『永遠なるものたち』(晶文社)が最も近いでしょうか。しかし「不妊治療」と「妄想」をどう繋げるのだろう?
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そんな疑問を抱きつつ、頂いた原稿に書かれていたのは切実で力ある「妄想」のあり方でした。終わりの見えない不妊治療のなか、痛みに身体を引きずりながらも続けるために、唯一の救いとして立ち現れてくる「妄想」。
姫乃さんは今回、「妄想」というテーマをもらったとき「「辛さを乗り越えるための妄想」しか思いつかなかった」といいます。目の前が真っ暗で、不安と絶望のなかで姫乃さんはどのように「妄想」したのか。
ぜひ、読んでいただきたいと思います。
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姫乃さんの文章は9/30発売の『妄想講義 明るい未来の描き方』に収録!
発売前に、金風舎のネット書店金風舎DCHにて独占リリース!!必見です!
金風舎のインディペンデントなネット書店
「金風舎DCH」とはどんなものなのかは、以下の記事をご覧ください!
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