2020年完結漫画個人的ベスト5(※2020年内に最終巻が出た漫画から)
5位 最後の遊覧船(全2巻)/すぎむらしんいち
「漫勉neo」で取り上げられて気になり購入。
これまですぎむらしんいち作品をそんなに熱心に追っていたわけではないけど、絵柄・ストーリーともに外連味の高い印象を抱いていた。
でも本作は絵柄は若干マイルドになりつつ(ここまで分かり易い美男美女が中心に話が回る印象もあまりなかった)、後半の予測不可能な、無軌道さすら感じる独特な外連味は残しつつも2巻の短さで1本の映画のように物語が凝縮していて、余韻もたまらない。
これは実写映画かもしくは舞台でも観てみたい。
4位 ヒナまつり(全19巻)/大武政夫
いわゆるギャグ/コメディ漫画でここまでマンネリ感を感じさせず笑わせてくれた漫画はそうそう無かった。
最終巻はこれまでの巻に比べるとやや笑える要素が足りなかったのでこの順位になったけれど、それでも充分楽しませていただいた。しれっと続編やっていただいても全然問題ない。
ギャグ時空だと時間が止まる漫画も多い中、本作は時間がはっきり経過して人間関係にも変化が現れるのも面白い点だった。
ヒナがダメ人間ではありつつ、サイキック少女の中で一番常識的で俗物的になっていったのも面白かった。
個人的にはハズレなしの瞳ちゃん回は最終巻にひとつ入れて欲しかった。
3位 水は海に向かって流れる(全3巻)/田島列島
SNS上で話題になっていて気になり購入し、3巻一気読み。
恥ずかしながら作者をよく知らなかったのだけど、本作読んでから過去作も全て購入(と言っても寡作なので3冊だけなんだけど)。
本作は是非3巻通しで読んでほしい。
3巻の2人の関係の持っていき方が本当に素敵でラストの台詞も大好き。SNS上での絶賛っぷりでかなりハードル上げた状態で読んだけれど、きっちり期待に応えてくれた。
これも実写映画かアニメ映画かで観てみたい。
2位 恋愛ラボ(全15巻+恋愛研究レポート)/宮原るり
こちらは10年ほど単行本で追ってきたこその思い入れというか。15巻が最終巻というより、登場人物たちのその後のエピソードもしっかり描かれた「恋愛研究レポート」が実質最終巻と言える。
「恋愛研究レポート」を読み終えたとき、作者の「描き切った感」を感じてしまって、15巻を読んだとき以上に一抹の寂しさを覚えた。ホントの作品へのお別れを感じて。
長く作品を読んでいるとこういう重みがある。
作品としてはリコが凪に告白した12巻あたりが(他の恋愛模様も盛り上がりを見せて)ひとつのピークだと思うけれど、その後もやきもきしつつ楽しませていただいた。
1位 鬼滅の刃(全23巻)/吾峠呼世晴
言わずもがなの大ヒット作。アニメの大ヒットや放送中に最終決戦に入っていた連載の盛り上がり、コロナによる自粛期間中の配信サービスでの視聴者拡大等々、様々なヒットの要因はあるけれど、ここまで(具体的に書くとアニメや漫画にあまり関心のないウチの両親もタイトルを認識するくらい)の大ヒットになると、もう何でここまでヒットしたかなんて自分には説明が出来ない。
ここまで売れるほど万人受けする作品とは思っていなかったけれど、そういったヒット作がはらむ、ある種の色眼鏡抜きに、最終巻は文句なしに素晴らしかった。
加筆部分(連載時はページ数の都合でカットされた箇所)によって終盤の余韻や感情の置き場が雑誌掲載時よりもずっと良くなっていたのも満足度が高かった。
これが週刊連載デビューとは末恐ろしいくらいの見事な物語の着地。
あと、各登場人物の物語に余白(想像の余地)を残しているから二次創作界隈が盛り上がるのも分かる。
一読者としては、吾峠先生の次回作を読切でも連載でもどんな形でも良いから読みたい(それこそ結果的に鬼滅のスピンオフになっても)。
大ヒットのあとだから計り知れないプレッシャーだと思うし、実際、掲載となったら出版側も大宣伝するだろうし、猛烈な注目もされるだろうけれど。
(短編集読むと鬼滅よりもかなり尖った異彩を放つ作風だったので)例え一般受けしなさそうでも作者の好きな作品を描いて欲しいなと。
むしろ好きな作品を好きなように描いて2・3作載せれるぐらいの権利は本作の大ヒットにより、あって然るべきと思う。
いずれにせよアニメの続編(TVアニメか劇場版になるかは分からないけれど)もあるだろうし、多少ブームは落ち着くとしてもまだまだ末永く楽しませていただく。
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