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劇団エル「Outlanders〜Jeanne D'Arc追憶〜」
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2024.6.16 13:00
脚本を書かれた山之内リサさんは、実際にフランスへ行き、ジャンヌダルクを研究している方にお話を聞いたそうだ。
その経験があったから作品ができたのか、脚本を書くために現地へ飛んだかは伺った中では判然としないが、それをエネルギーとして芝居を作ることは尊敬以外の何者でもない。
我々が知るジャンヌダルクの物語とは少し違う、火刑を免れた聖女の物語だ。
プロジェクターを活用し、まるで宝塚のような舞台だった。
恐らく、私よりも人生経験は豊富な方々が舞台に上がっていたのだとは思うが、役者としてはまだ「若い」と思った。
きっと、役作りや舞台作りに十分悩み、翻弄されたのではないだろうか。
初めてまだ3年ばかりだと聞いた。
その頃特有の青臭さというか、悩みが舞台に盛り込まれ、勢いのある舞台として再現されていたように思う。
今回上演されたのは、休憩込みの2:30だったが、もっと書きたいことはあっただろう。あのメンバーでできることや演じたいこともあっただろう。しかし、みんな輝いて、素晴らしい舞台であったことは言うまでもない。
むしろ、3年目の舞台とは思えないほど、色々な試みが成されていた。ぜひ、体が動かなくなるまで舞台に立っていてほしい。
当然、冗長になったところ、だれた部分もあるし、技術的に及ばない点だってある。しかし、それらも混みにして、また観たいと思わされる舞台であったことは間違いない。
作っている人たちが本気だったからだと思う。悩んで悩み抜いた末にできたものは、当然ながら人を惹きつける。
ひとつ、具申してもいいのなら、もっと舞台の縦空間を意識して組み立てるとよかったなと思う。
舞台初心者が陥りがちなのが、2Dになりがちだということだ。
横スクロールと奥手前スクロールがどうしても多くなる。
せっかく階段上の舞台装置があったのだから、あれをもっと使いこなせれば、さらに動きに深みが出たように思う。
3部作ということで、1部と2部があったらしい。観れなかったのが残念だ。