しばいぬとオレ 〜ハチ編〜 その3
ハチは毛が抜けまくる以外は健康であることが分かった今、ハチが見窄らしく見えても特段気にしなくなった。ただ、真冬なのにピンク色の地肌が見えているのが気の毒なくらいであった。
そんなある日、嫁さんがケージの中にいるハチと遊んでいると、
「ハチがダンスしてる?」と嫁さんが言うのである。
ダンス?果たしてそんなことができるのだろうか?と思っていたら、二男がそれを見て、
「母さん、それ、いわゆるマウンティングってやつだよ。」
と冷たく言った。嫁さんは一瞬何のことか分からなかったようだが、すぐさまハチに対して、「ハチ、ディプレス!!」と言い放ったのだ。
『ディプレス』… 英語で書くと『Depress』となるのだが、我が家ではがっかりしたり、残念に思ったりすると、「ふぅ〜ディプレスじゃん、それ」といつからか言うようになった。方言ならぬ、お家言とでも言うのだろうか。さらに三河弁を混ぜ、「どディプレス」と言えば、大変残念、誠に遺憾といった最上級的な残念ぶりを表現できる。是非使ってみよう(誰も使わないね)。
さて、このマウンティング…であるが、しがみつきながら腰を振る仕草のことをいう。
諸説あるようだが、自分が強いことを見せつける意味合いがあり、また遊んで欲しかったり、または家族がその行為を見て喜んだりするとするようになる…らしい。
ロッキーは去勢をしなかったのだが、一切マウンティングを家族にすることはもちろん、見せることすらなかったのだ。超ストイックな男だったのだ(たぶん)。故にハチのマウンティングは嫁さんにとって汚らわしいものに思えたのだろう。それから、途端に嫁さんはハチに冷たくなった。どうやらネット記事でマウンティングへの対処法を読んだようで、
『マウンティングをされたら冷たく突き放しましょう』
を実践しているのだ。
ハチは子犬だ。恐らく愛情表現か、嬉しくなってつい腰を振ってしまったのだろう、と嫁さんを諭す。ただ本当にマウンティングだったのであれば、今ハチランキングは
オレ>ハチ>嫁さん
である。笑
しばらくの間、平穏にハチとの日々が続く我が家であったのだが…
つづく