これまでの12年、これからの12年
「極論」の歴史をタイトル名と表紙の「顔」でおさらいしてみます。
1 極論で語る循環器内科 香坂 俊 先生 2011/07
2 極論で語る神経内科 河合 真 先生 2014/10
3 極論で語る循環器内科 2版 香坂 俊 先生 2014/12
4 極論で語る腎臓内科 今井 直彦 先生 2015/06
5 極論で語る感染症内科 岩田健太郎 先生 2016/01
6 極論で語る総合診療 桑間雄一郎 先生 2016/06
7 極論で語る睡眠医学 河合 真 先生 2016/09
8 極論で語る消化器内科 小林 健二 先生 2018/09
9 極論で語る麻酔科 森田 泰央 先生 2020/07
10 極論で語る神経内科 第2版 河合 真 先生 2020/12
11 極論で語る循環器内科 第3版 香坂 俊 先生 2022/01
※イラストはシリーズを通じて、龍華朱音先生に描いていただきました。
最初の「極論で語る循環器内科 初版」の刊行年は2011年ですが、企画検討時期を入れると、2009年(じつは2008年末でした)ごろですから、構想から12年、ほぼ毎年のように「極論」は刊行してきたことになります。
今回「極論で語る循環器内科 第3版」の帯に「12年の風雪を耐えて」という文言を入れさせていただいたのは流行りすたりの激しい、もとい情報のアップデートが宿命の医学書において12年も看板をはってこられたのはやはり「すごいこと」というのを香坂先生と歴代の著者の先生方、そしてイラストを描いてくれた龍華先生に感謝の意を込めて打ち出したいと思ったからです。このことは同時に、この12年間、研修医など愛読いただいた読者の皆様への感謝の意でもあります。
お気づきかもしれませんが、上記のシリーズラインアップを見ると「極論」は基本単著です。そして米国臨床を経験された日本人医師の筆による本です。日米臨床の双方の経験と比較検討ができる三角測量のような視点をおもちの方々が「極論」(臨床においてほんとうに大切な視点とは何か?)を代々筆にしてこられたわけです。
シリーズ11冊の中での最多出場は、なんといっても香坂先生、そして河合先生でした。もっとも監修としてすべての本に目を通されたのは香坂先生ですし、すべてのイラストを描かれたのは龍華先生であります。
これまでの12年、ありがとう。
これからの12年、またよろしくお願いします。
そんな想いを込めて、表紙の「顔」が改まった次第です。
さて、「極論で語る循環器内科 第3版」では、循環器内科領域における錚々たる先生方にも協力いただいており、今回は、初版の往時を振り返り、今を照らす「極論・今昔物語」というコラムを香坂先生の発案で執筆いただきました。1人ひとりの先生方にも往時があって、今があり、これからの抱負がある。そんなコメントも楽しんでもらえたらと思います。
最後に、改訂第3版の香坂先生の「まえがき」を紹介します。
改訂第3 版・まえがき
きょく ろん【極論】
(1)極端な議論.また,そのような議論をすること.極言.
(2)つきつめたところまで論ずること.
[大辞林 第四版(三省堂)より]
前回の改訂は4 年で行いましたが,今回は第2 版を作成してからじつに7 年が経過してしまいました.幸いその期間に「極論で語る」シリーズの冊数は増えましたが(腎臓内科・感染症内科・総合診療・睡眠医学・消化器内科・麻酔科・神経内科第2 版),オリジナルの循環器内科の改訂作業は滞っておりました.
その7 年の間,循環器診療の進歩が止まっていたというわけではなく,むしろ加速度を増して各疾患の理解が進んでいったように思います.そうした背景を踏まえ,今回の改訂では以下の作業を行っています.
末梢血管疾患のミニチャプターを足しはしましたが(6 章),前改訂のように新たな章を書き起こすということはしていません.
その一方で各章のアップデートはドラスティックに行いました.特にカテーテルやデバイス治療に対する考え方はかなり変わりましたので(侵襲的な手技に関しては,総じて症例をかなり選んで行うという方向に進んでいます),そのあたりは各章で統一しています.
古くなってしまった内容に関してもかなり整理しましたが,それ以上に盛り込まなくてはならない内容が多くなってしまった印象で,大変申し訳ないのですがページ数は若干増えております.
あと,こちらの書籍は自分が米国から帰国した折に日本で知り合った(あるいは無理やり知り合いになっていただいた)方々に共著者として多大なるご尽力をいただいております.今回そうした方々にも簡単なエッセー【極論・今昔物語】をお願いし,花を添えていただきました.
今回の作業でもイラスト担当の龍華先生,そして編集の方々には大変お世話になりました.この本の内容が少しでも皆様の日常診療の助けとなれば幸いです.
2021 年12 月吉日
編著者 香 坂 俊
これからも「極論」は研修医や医学生の皆さんの味方です。新しいテーマにもトライを続けましょうし、改訂も重ねてゆくことと思います。