座して死を待つ日本

いわゆる新型コロナウィルスによる猛威が今も尚続いている。世界中でこのウィルスと戦っている。先が見えず、いつ終わるかも解らない消耗戦を地球規模でいきなりやらされるとは誰も思わなかった事だろう。

その中で、日本政府は端的に言って「世界標準からズレた愚策を繰り返している」と認識せざるを得ない。日本政府の中の人の大半が平和ボケというか危機感を持っていないと私は思っている。以下に理由を著述する。

まず。ネットニュースの記事をひとつ。

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/asahi/nation/ASN4B61NNN4BULBJ00W

端的に言えば新型コロナウィルスの発症者の受け入れだけで限界で、脳卒中や命に関わる病気や怪我をした人を治療するキャパがもう無くなってきている、という話だ。これは既に医療崩壊と言える。

こんな事態になったのは、大元は日本政府の判断の先送りの結果だ。2月中に「この2週間が山場だ」などと誤ったメッセージを国民にアナウンスしてしまいそれが過ぎた3月の連休に「山を超えたと勘違いした人々が沢山外出しまくった」わけだ。現在も自粛の要請などという「自ら行動を慎むのを要請する」などと訳の分からない事を言っている。

そういう事を繰り返して、今や東京で感染経路の不明な患者がどんどん増え、本日で180人超の陽性患者が出た。大阪でも北海道でも同様だ。

何故食い止められないのか?答えは簡単。政府が粗利保証と個人への給付を躊躇いまくってるからだ。

よく勘違いされがちだが、30万の給付は「個人への生活の保証」であるが飲み屋やクラブやライブハウスへ保証するのはおかしい、水商売なんて自己責任だろ、という批判がある。全くもって見当違いも甚だしい。そんな上っ面の話では無いのだ。

例えば町中の工場も、服飾店も、居酒屋もフレンチレストランも、その全ては「一度潰してしまえばそのジャンルの需要が起きた時に供給が出来なくなってしまう」という点に於いて変わらない。供給能力が低下したままだと、GDPを元に戻す原動力が無いわけなので毀損されたGDPを取り戻すのに余計に時間とお金がかかってしまう。

なので、保全という意味で個人には給付で生活支援を、民間企業や個人事業主さんらには粗利保証で「コロナショック明けて、また日常が戻ったら景気刺激策やるからこれで安心して家に居てね」とやるべきだってのは御理解頂けるかと思う。なのにそういう補償はめちゃくちゃ渋っている。これでは既存の事業がどんどん損なわれていくばかりだ。

ていうか、「国民同士でずるいだアイツに税金で給付するなと分断している場合ではない」という当たり前の話や、「自己責任論を振り回すならば国なんか必要ない、国民を守らない政府など必要ない」という事すら共通認識が無くなっている国民も問題があるが、まあこれは失われた20年の中で醸成された亡国の思想、行き過ぎた新自由主義による国民同士の足の引っ張り合いによるものだから結局自民党が悪いという話になってしまう。

勘違いして欲しくないのは、私はロスジェネだから反自民とかではない。麻生内閣も安倍内閣もめっちゃ応援してた。デフレ終わらせると燃えていた2013年頃がとても懐かしい。

なのに今は遅々として国民を救わない方向に邁進している。国民への一律給付もしない、企業や個人事業主へは金借りろとしか言わない。いつ終息するかも分からないのにお金を借りろとは酷な話だ。今一時借金で凌げても一年経っても終息せず、結局店を潰して後には借金が残るなどという可能性は否定出来ないから借金なんか怖くてできる訳が無い。

ゴールドデンウィーク明けまで東京大阪含む7都府県へ緊急事態宣言を発したのも「政府の中の人は、それまでに感染爆発は抑え込めるだろう」としたのではないか。全くもって楽観論の度が過ぎる。その他の地域から人の制限はかけられていない、仕事しなきゃ食えない人達は表を歩いている。感染経路は残っているのに何故期限を区切れるのか全く意味が分からないし「自粛の要請」だけで補償をしないのか?

一説には財務省が否定してるから補償出来ないとか消費税減税も考えてないとか色々言われてるが、つまり現内閣は非常事態に何も出来ていない。補正予算も新規国債発行は16.8兆円、しかもその中にコロナショック終息後の景気振興策「GO TO Travel」とか少し前に出た旅行券お肉券に対しての予算をぶち込んでいて、だからゴールドマン等は真水14兆円しか使わないと批判をした。こんな馬鹿な話は無い。いつ終わるかも分からないのに終息後の事を呑気にやろうとする間抜けな事がまかり通って良い訳がない。

こういうのをツラツラ書くと、「安倍さんは頑張ってる!今はひとつになって頑張る他に無いのに批判するな!」という思いを持つ方もいるだろうし反発したくなるかもしれない。

しかし、今頑張るのは当たり前だし誰が今総理大臣であっても頑張らないといけない状態だし、何より安倍さん本人が政治は結果責任だと言い張っておられるではないか。なのに国民を真に救おうというのが安倍内閣には無い。好き勝手二階や岸田や麻生がやってるからとか色々言われるが、日本の舵取りは究極的には安倍さんが行うわけだ。責任というのは逃れられない。政策は手段、目的は日本国と日本国民の繁栄でしかなく、それに沿わない事しかしなければ任せる訳にはいかない。シンプルな帰結だろう。

現在、自民党内部に100人ほど消費税減税を求める減税勢力が出来て、野党の中にも同じ認識を持つ者も現れだした。このコロナショック以降は大きく国の舵取りが変わるだろう。その中で、安倍内閣はどのように評価されるだろう?コロナショックのダメージを抑え込んだ英雄か、無駄に出血を強いたインパール作戦の牟田口みたいな歴史に残る無様で間抜けな国賊として残るのか。一説にはオリンピックの無くなった今夏に消費税減税解散が噂されているが本当にそれをやるなら前者、このままなし崩しに行くのであれば後者になるのは必定。一刻も早いまともな救済を望む。

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