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ちょっと気分を変えてカメラ本を開いてみた#1「金属人類学入門」

 1990年代中頃に「金属人類学入門(赤瀬川原平)」という本が発売された。タイトルからは社会学の本のように思えたが、著者名の赤瀬川原平さらに本の帯に「中古カメラウィルス発見」とあったことから、これはカメラ本だろうと開いてみたらまさしくその通りだった。

 それまでのカメラ本は、カメラのテクニカル面に焦点を当てたものが多かったが、この本はまったく違う。

 どう違うかうまく説明できないが、あえて言えばカメラ収集を通して見る人間探求のようなものだろうか。人はなぜ古いカメラ(特に金属ボディのカメラ)に魅了されるのか、その謎を解き明かそうとする思いが本全体から伝わってくる。

 タイトルに「学」という文字が入っているが堅苦しくなく、ユーモアあふれる文体で語られる古いカメラとの出会いとそれを購入するか迷う様子に思わず共感してしまう。著者の赤瀬川原平は芥川賞作家であり画家であるが、カメラ好きのオジサンという姿がこの本をより一層面白くさせている。

 それにしてもこの本のタイトル「金属人類学入門」は同じ著者の「路上観察学入門」に似せてつけられたと思うが、帯にある「中古カメラウィルス発見!」に気づかないとこれがカメラエッセイ本だと分かりにくいような。

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