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シングルレコードとEPレコードはどう違うんですか?
はじめに
17㎝(7インチ)径のレコードにシングル盤とEP盤があることは多くのレコード情報サイトで紹介されている。しかしその違いがどのように生まれたか説明するものは少ないような。そこでシングルとEPは、どこが違うかを調べた結果をまとめてみた。これでスッキリしていただければ幸いです。
1.ここが違うシングルとEPレコード
そもそもEPレコードとは何だろうか?手元にレコード全盛期に発行されていたオーディオ事典(昭和52年・1977年、ラジオ技術社)がある。執筆はレコード事業も行っていたオーディオメーカーのパイオニアのエンジニアが担当しているので今回の調査に最適な資料だろう。
![](https://assets.st-note.com/img/1710590364130-HNKiP4C3wz.jpg?width=1200)
以下にこの事典に記載されているEPレコードの解説を引用しよう
「”EPレコード(Extended play record)1949年RCAが開発した45回転/分のいわゆるドーナツ盤は、従来の30㎝径のSPレコードをそのまま縮小し、特性面を改善することに目的があったため、演奏時間は片面5分程度であった。それをバリアブル・ピッチにすることによって10分程度まで延長したものをEPレコードと呼び、そうでないものをシングル盤と称するようになった”」。
バリアブル・ピッチのことをすこし補足すると、レコードの溝は、音が大きいとき隣の溝にはみ出さないように余裕をもって一定間隔で刻まれていた。もし溝の間隔を音が小さいときは狭く、大きいときは広くなるように、溝間隔を可変してカッティングできれば、刻める溝の総本数が増え収録時間も長くなる。
EPレコードは、このような仕組みをとり入れて収録時間を伸ばした17㎝(7インチ)径の45回転レコードなのです。だからExtended Play(EP)と呼んだのでしょう。
2.EPレコードの実物
クラシック音楽好きだった父は、よくレコードを聴いていた。いまもわずかに残るそれらレコードの中からEPレコードを紹介しよう。
1)コロンビアレコードのEP(輸入盤)
EPレコードの恩恵をもっとも受けたのは、従来のシングルレコードに収まらなかったクラッシク音楽のようだ。LPレコードを開発したコロンビアレコードもcolumbia masterworks として、EPレコードをリリース。下に載せたのはベートーベンのコリオラン序曲、片面の収録時間は6分40秒。
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ジャケット左上にEXTENDED PLAYのマークがある
![](https://assets.st-note.com/img/1711100946886-eoLMrxM8nP.jpg?width=1200)
2)エンジェルレコードのEP(国内盤)
エンジェルのEPレコードは、ジャケット左下にEXTENDED PLAYと表記されているが、文字が白くて判読が難しい。ただし盤上に大きくEPと印字されているので一目で分かる。収録されている曲はワーグナーのタンホイザーで、1幕と2幕が片面に収まり時間は7分50秒。
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![](https://assets.st-note.com/img/1710571277887-c2uPeKjBik.jpg?width=1200)
3)EPICレコードのEP(国内盤)
こちらはクラシックでなくラテン音楽グループのトリオ・ロス・パラガヨスのレコード。片面2曲づつ合計4曲が収録されている。ジャケット表面にもレコード盤にもEPの表記はないが、解説文中にEPと書かれており収録時間は5分50秒、間違いなくEPレコードだろう。
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3.まとめ
EPレコードは、17㎝(7インチ)径の45回転の長時間レコード(長時間といっても最長10分ですが、シングルレコードの2倍になります)。溝を刻む(カッティング)方法がシングルレコードと少し違いますが、再生方法はまったく同じです。
シングルレコードとEPレコードの違いを、リスナー目線でざっくりまとめると以下のようになる。
1)シングルレコードは、収録時間5分以内の17㎝(7インチ)径の45回転のレコード、1曲3分前後で片面1曲両面2曲を収録したものが多い。
2)EPレコードは、収録時間5分以上10分未満の17㎝(7インチ)径の45回転のレコード、収録曲数は様々で片面1曲8分ぐらいや、片面2曲両面4曲などがある。