「やりたいこと」を仕事にする」のではなく「(今)やれることを仕事にする」という選択
「好きなことを仕事にする」
「やりたい仕事に取り組むことこそが幸せである」
好きではないことを仕事にして、毎日やりたいことよりもやりたくないことをすることが生活の中心となっている人にとっては、強く心に響く言葉である。
朝起きる。行きたくもない仕事に行く。そして「これは自分の人生ではない」という思いつつも、生活のためにそれをしなければならない。毎日思うのは、次の休みの訪れである。
そんな日々を送っていると、自分の人生に幸せをもたらしてくれることや、好きと感じられることをすることが、正しい考え方のように感じるのは自然である。
人は好きなことなら情熱を注ぐことができる。ゆえに好きな仕事を選べば毎日が楽しくなり、生活、そして人生が充実する。理屈はとてもシンプルだ。だが、本当にそうなのだろうか?
はじめに
まず最初に注意点だが、この記事は「好きなことをして幸せな人生を送る方法」について書いている記事ではない。
記事の内容を端的にお伝えするならば、それは「人生はしたいことをすることが幸せな人生とは限りません。むしろ、今自分がいる環境と向き合い、可能な限りの最善を尽くすことではないでしょうか?」と問うている記事である。
私自身、20代の頃は「自分が好きなことを仕事にすれば」幸せな人生が実現できるという希望を持っていた。そして確かに人生の一時期、好きなこと(と当時の自分が感じていたこと)を仕事にし、それによって「私はこのような生活を送りたいです」と願っていた現実を経験することができた。
ところが、である。「自分が好きと思っていた」仕事でさえ、自分がほんとうに好きなのか?何年も続けるうちに疑問を感じるようになった。そして最終的には、仕事は好きかどうかという話よりもっと大切なことがあるのではないか、という考えに至った。それこそがこの記事の主テーマである。
そして最も重要なことは、もしあなたがその仕事が好きでなくとも、あなたがその仕事に就くことになったことそれ自体が、あなたの人生で何か意味があるかもしれない、ということである。
仕事は結局人生の一部であり、確かに私たちは「生きるため」に仕事をするが、「生きるために」する仕事、ご縁があった仕事はご縁があったことそれ自体に、何か意味があるのではないか。
すなわち、「その仕事をすることになった」のなら、何らかの理由でその仕事を経験する必要があった。そう思うのだ。
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