ダンシング・イン・ザ・ストリート聴き比べ
洋楽を聴き始めたのは、80年代半ば、カルチャー・クラブやマイケル・ジャクソンあたりがきっかけでした。当時中学生、深夜のMTVに夢中になった世代です。ヒット曲連発の大スターが、チャリティーの名目でコラボし出したのもこの頃だと思います。
ポール・マッカートニーとマイケル・ジャクソンの「SAY SAY SAY」とかワクワクして聴いていました。日本でいえば北島三郎と郷ひろみかあたりか。
そして、デビッド・ボウイとミック・ジャガーが共演。日本でいえば忌野清志郎と桑田佳祐か。
曲名は『Dancing In The Street』。ミュージック・ビデオがカッコ良かった。
いやぁ、いま見てもかっこいい。
ロングコートを着て手をズボンに挿したままのステップ、学校帰りに真似してました。私の場合、酔っぱらったカトちゃんにしか見えなかったと思いますが。
当時はオリジナル曲と思っていて、カバーだと知ったのは結構あとのこと。
『Dancing In The Street』の原曲に出会ったのは、後にハウリン・ウルフやバディ・ガイなんかのブルースにハマっていた頃。
ブルース・ソウル関係の音楽雑誌で紹介されていました。この曲は「やっぱりマーサ&バンデラス」なんだと。なんだと、それは聴かネバダ。
録音は古いんだけど、パンチの効いた伸びのあるボーカルとノリノリなサウンド! ボウイ&ジャガーもいいけど、これだ、この曲はこれだ!!と思いました。
これを先に知っていると、カバーしたくなるのがわかる。
スタンダードナンバーの聴き比べって、楽しいですよね。思えばクラシックなんかも長い間演奏され聴き継がれてきたもの。指揮や演者でずいぶん違う。いろんな音源に触れるとそういう楽しみ方が出てきます。
私の大好きなキンクスもデビュー後短期間で制作した2作目のアルバムにてこの曲をカバーしています。
どうですか、この気の抜けたボーカル。
『ユー・リアリー・ガット・ミー』で熱い演奏してたはずなのに。
でも、このゆるさが彼らの魅力のひとつになっていくんですけどね。
当時のレコード会社って、実績の少ない若手にアルバムを作らせる際、手っ取り早く知られた曲のカバーを録音させていたようです。ローリングストーンズやビートルズもそうですね。
キンクスが他のバンドと違って面白いところは、カバー曲のクオリティがオリジナル曲に比べて断然低いこと。逆に、キンクスの曲をカバーした人達の名演は多いんですけどね。
大好きです、キンクス。
そして、キンクスの『ユー・リアリー・ガット・ミー』のめちゃめちゃカッコよいカバーでデビューしたヴァン・ヘイレンも、この曲を演っている。
なんかゴージャス。スーパーヒットの『ジャンプ』を出す前です。デイヴ・リー・ロスがこういうの好きなんじゃないかなぁと想像しています。
日本人も当然カバーしていますよ。ソウル姉様、鈴木聖美。こちらのアルバムに収録。
カッコいい!日本人とかどうとか関係ないです。ディナーショウあったら行きたい。
いちばん新しいのはこちらでしょうか。The Struts
良いねぇ、これはヴァン・ヘイレンのアレンジ! 赤いジャケットやダンスはマイケルを連想させる。自然と身体が動き出す。古いけど新しい。
やっぱりこの曲好きだなぁ。
ふと思う。
『Dancing In The Street』って、日本語にしたら、阿波踊りだよね。
「あ、わ、おどーり!」って、王様あたりやらないかな。